fc2ブログ
~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
分子標的薬の副作用 
2008/04/23 Wed 12:29
以前
分子標的薬とは分子標的薬をごく簡単に説明しました。
先日は、分類について説明しました。

今回はその続きです。
おおざっぱな分子標的薬の概念がわかってないと難しいのでわからない方は、さきに分子標的薬とは?をお読みください。

がんが増殖や浸潤、転移するのにいろいろなシグナル(信号)を介していることがわかってきました。

そうした、チロシンキナーゼなどを阻害して抗腫瘍効果を発揮しますので、副作用も今までの、殺細胞性の抗がん剤と比較するとプロフィールの異なる副作用が多く見受けられます。

例えば、ゲフィチニブ(イレッサ)やエルロチニブ(タルセバ)は、皮疹、肝障害、下痢、そして薬剤性の肺炎が有名ですよね。
ちなみにタルセバの皮疹はほぼ全員に出ると言われています。

中には、膵炎や気胸(肺に穴が開いて空気が肺の外に漏れて肺がしぼむ)などもイレッサとの関係が疑われています。

トラスツズマブ(ハーセプチン)は、アレルギー反応(抗体薬品にはよくある)や心毒性。

ベバシヅマブ(アバスチン)は、高血圧や尿タンパク、そして出血関連事象(下血、喀血など)が有名です。

今後活躍の期待できるスニチニブは、心不全や全身倦怠感が有名です。全身倦怠感は甲状腺機能が低下して起こるとも言われています。

予想通り、殺細胞性の抗がん剤とは全く違う副作用が問題になってます。

吐き気もほとんどないし、白血球や血小板、貧血というような副作用もほどんどありません。
 
まだ、新しい分子標的薬(今までの分子標的薬の作用する場所とは異なる部位に作用するもの)がどんどん出てきますので効果も楽しみですが、未知なる副作用にも目をひからせておかないといけません。
 
 

勉強になった方『人気ブログランキング』へ←ポチッとお願いします。
 
 

イレッサとタルセバの効果の差が話題になっていますけど。
イレッサの効果の低い方(イレッサであまり大きさの変わらない方)にタルセバが効果を発揮することがあるようです。

イレッサが今まで効いていて、だんだん効かなくなった方は、タルセバの効果は薄いようです。

あくまで、この話は象なだけです。
今後どういう使い方になるかはまだわかっていません。

詳細については、主治医とご相談ください。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

タグ : 分子標的薬

コメント
この記事へのコメント
スーテント服用
こんばんは。。身内が分子標的薬スーテントを服用しています。2クール目が終わり6日が過ぎました。
副作用はいろいろあり倦怠感・食欲不振・手足症候群(かなり皮がむけました・・)・その他もろもろです。
本当につらいようです。
でもこれしか方法がないようで医者にまかせるしかないと言っています。
分指標的薬、聞き慣れない言葉でしたが大分、勉強して学びました。
休薬期間に入り3,4日で副作用も治まるはずが、今回は6日目でまだ気分は最悪のようです。
このような状態で食べれないのでだんだん、体も弱っていく気がします。。顔の腫れもまだ取れないようです。
医者もまだ例が少ないのでよく解らないような感じです。
ここのブログはいろいろ検索しててたどり着きました。
ついついコメントしてしまいましたが、何かヒントになることがあれば教えていただきたく思いました。。
2009/05/24(日) 21:00:17
URL | ひまわり #-[ 編集 ]
ひまわりさん
スーテントは、かなり副作用がきついようですね。
マルチキナーゼ阻害剤のひとつでいくつもの場所をブロックするので副作用も多くなっていると考えられます。

何事もそうですが、効果と副作用を天秤にかけてみてどうするか?(続けるのか、減量するのか、休薬するのか、中止するのか)などを決めていかなければなりません。

副作用の対策もきわめて有効な者とどうしようもない場合もあります。

一番簡単な副作用対策は、薬をやめることです。
あとは、患者さん自身がその副作用をどのようにとらえているかも大切です。
その程度ならへっちゃらというものならいいんですが、医者が大丈夫だろうと思っても本人にとっては非常に辛い場合もありますからね。
2009/05/25(月) 13:24:27
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
ここで、質問もおかしいかなと思ったのですが・・
副作用で食べれないなら・・といろいろ考えたのですが、食べれず栄養も採れなくて衰弱していく一方なので、
栄養補助食品とか(サプリの一種ですが)採ったらどうかと思ったのです。
で、人に聞くと、栄養とるのはいいけどガンもその栄養をもらってしまってガンが成長するような事を言ってました。
本当にそうなのでしょうか??
だとしたら、栄養採れず、弱るしかないのでしょうか??
解らなくなってしまいました・・。。。?
こんな事をこちらで聞いてしまってすみません。。
2009/05/25(月) 22:02:00
URL | ひまわり #-[ 編集 ]
>で、人に聞くと、栄養とるのはいいけどガンもその栄養をもらってしまってガンが成長するような事を言ってました。

末期に近くなると栄養をとっても利用できない状態になってくるのであまり栄養もいらない場合も多いのです。
ですので、栄養を入れても利用できないので弱るのです。

まあ、なんでもいいですから口に合うものがいいでしょう。
カルピスを凍らせてシャーベットにしたら多くの方が食べられますよ。
2009/05/26(火) 13:05:42
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://tugagu.blog34.fc2.com/tb.php/121-cb575aed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

copyright © 患者と医者をつなぐもの all rights reserved.


template by http://flaw.blog80.fc2.com
Powered by FC2ブログ