~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2008/09/09 Tue 12:33
m3ブログで昨年の5月31日のエントリーです。



イレッサ(ゲフィチニブ)は、何回か新聞紙上をにぎわしております。
まず最初ににぎわしたのは、登場したとき。当時としては画期的なスピードで承認され発売されました。
もちろん、賞賛を持って報道されました。
肺癌治療で初めて認可された分子標的薬(癌が増殖、転移などするときにだす信号をでなくして抗腫瘍効果を発現する薬)です。

腫瘍縮小効果はあまり期待できないかもしれない(大きくならないようにする薬)が副作用はたいしたことないだろう。そして、様々な施設でイレッサが使われました。
呼吸器疾患にあまり精通していないような施設でもたくさん使われたようです。

そうすると、肺傷害(薬剤性肺炎)という副作用で新聞をにぎわせました。
そこでは、さんざんたたかれました。発売中止になるかの勢いで。
その直後の学会にはたくさんの報道関係者の方もいらっしゃいました。

肺傷害(薬剤性肺炎)の出現率は約5.8%(今までの抗癌剤の約2~3倍の発生頻度)であり、その中の約半数の方が残念ながら命を落とされるようです。

しかし、恩恵をこうむった患者さんには夢のような薬となっています。
肺癌の予後は非常に悪く、生存中央値は抗癌剤治療をしても1年半程度です。

にもかかわらず、3年以上飲み続けている患者さんもいらっしゃいます。
あと、1~2ヵ月の命だろうと思った人がイレッサを飲んで1年以上悪化を認めなかった人もいます。

ただし、そこまでの恩恵をこうむる方はほんの一握りです。

ほとんどの方は、イレッサが効いていても1年程度で再発してくることが多いです。

また、女性、腺癌、非喫煙者に限って使えば奏効率(効く割合)が非常によいこと(4~5割)。EGFR遺伝子変異のある方に使うと奏効率が非常によいこと(7~9割)がわかっています。

しかし、肺傷害が起こりやすい人ははっきりとわかっていません。(いくつかの危険因子は言われていますが奏効する人ほどはっきり分かっていません。)

効果のある人を予測することも重要ですが、重篤な副作用を予測する方がもっと重要だと思います。

現時点において、イレッサに延命効果があるというエビデンス(証拠)はありません。しかし、実地臨床(実際の患者さんに投与しての経験)でイレッサによる恩恵を受けた人を何人も知っています。

また、秋頃にはイレッサとほぼ同じ作用機序をもった肺癌に対する分子標的薬タルセバ(エルロチニブ)が発売になる予定です。
タルセバはアメリカで延命効果が認められています。

イレッサとタルセバのすみ分けはどうなるのでしょうか?副作用の頻度はどうなのでしょうか?
非常に気になるところです。



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早いもので、昨年の12月にタルセバ(エルロチニブ)が発売になりました。

その話題を近々出したいと思います。
コメント
この記事へのコメント
そのイレッサが問題になった時期に舅が肺がんで亡くなりました
実際、どんな抗がん剤を使っていたのか。という説明はなかったような気がするのですが
姑がこの記事で「お父さんはこれに殺された」って一年ぐらい言われ続けました(納得させるのに困り果てました)
高齢になると(病気家族は)悪い情報がすべてになるんだと、痛感されられた出来事でした

私自身そういうことがないように素人ではありますが知識はつけようと思っています

新しいケモがより多くの患者に効果がでるといいですね
2008/09/09(火) 17:35:13
URL | ran #LA1CAGAE[ 編集 ]
ranさん
大変な経験をされていたのですね。
かなり、近い方がいっても納得しないのですからやはり、患者さんと医者の間の隙間は大きいですね。

悲しいですけど。
2008/09/10(水) 03:15:36
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
納得するには時間がかかる
 我が家の場合は、イレッサの副作用死が世間に広まった頃、この薬を使うことを医師に提示され、患者本人がいやがりました。
 当時、この薬以外に効きそうな薬がなく、家族の立場として、私は賭けに出たかったのですが、服用を納得させるのに困り果てました。無治療になると余命はとても限られたものだよと、口に出して言えず…。
 月日が流れたら、本人も薬のメリット、ディメリットが少し理解できるようになったようです。タルセバを開始する際は、本人も覚悟を決めることができそうです。患者本人が理解できるようになるのも、相当の時間がかかりますね。
2008/09/10(水) 13:16:03
URL | christmas #-[ 編集 ]
私は幸せものなのですね
こうやってコメントをみているとつくづく思います。私も「次はイレッサ」と予告された時は2ヶ月位拒否しました。
でも、何とか納得して服用したお陰で娘の高校めぐりもできたし、無事合格にたどり着けました。あの時拒否をしていたら今の私も娘もありません。
余り風評に振り回されずに医師と自分を信じることだと思います。
2008/09/10(水) 15:51:14
URL | ツーさん #-[ 編集 ]
christmasさん
少しでも納得していない、不安があるなら飲まない方がいいような気がしますね。

ツーさん
ツーさんは、イレッサの恩恵を受けられたのですね。
いい結果がでたからそう思えますが、肺炎が起こっていても納得できたでしょうか?

気になるところです。
2008/09/11(木) 19:04:48
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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