~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2008/11/23 Sun 12:37
m3に去年の10月9日にエントリーした記事です。




もう、ずいぶん前のことです。

Aさんは、働き盛りの男性でした。

がんが見つかったとき3期の肺癌でした。
抗がん剤と放射線の治療が始まりました。

幸い副作用は強くなく、効果も抜群で腫大していた肺内リンパ節もほとんどわからなくなりました。

治療後の病期分類は2期と考えられました。

このまま、内科的治療を行う選択と思い切って手術で取ってしまう選択が考えられました。(一般的には内科的治療続行なのですが)

Aさんは、手術を希望されました。

Aさんは、最初、内科病棟に入院していたのですが、
『俺は、他の患者とは違う、絶対に治る。』
と私に言いい残して外科病棟へ転棟しました。

手術は、無事に成功したようです。

半年後、外科病棟でAさんと再開しました。脳転移で再発したそうです。
頭への放射線治療が行われていました。

Aさんは、外科の主治医とけんかをしました。
ささいな、出来事であったと思います。

そして、Aさんは私のもとへ戻ってきました。
戻ってきたときには、肝臓にも転移をしていました。

標準的な抗がん剤治療をすすめます。
Aさんは、自分は絶対治ると信じています。
嘘はつけません。
はやり、奏効率は20%前後、ただ前回非常に効果があったからもっと効く可能性が高いはずです。と説明しました。
Aさんは、奏効率が20%程度なのが納得できません。

イレッサもすすめてみます。
Aさんには、3%弱の治療関連死が受け入れられません。

どこからか、パンフレットを取り出しました。
免疫療法のパンフレットです。

1回30万円、5回以上受けないと効果がないような事が書いてあります。Aさんは、これに賭けたい。

標準治療が終わってから考えたらいい。お金もかかるし。と説明するのですが、聞く耳を持っていません。

免疫療法の施設に紹介状を書きました。
Aさんは、それを持って行きました。
絶対に治ると言い残して。

それから、3ヵ月後、Aさんは、全身が黄色になって戻ってきました。
肝転移による黄疸症状でした。

まもなく、Aさんは帰らぬ人となりました。

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個人的には、標準治療をしてからでもよかったのにと思います。

しかし、標準治療をしたから、もっと長生きできた保証はありません。

Aさんは、満足してたそうです。(奥さんの話)

何が一番いい治療なのか?わからなくなります。



昨日の方とは対照的な方でしたね。

未だに効果のハッキリしない免疫療法には、臨床試験以外したらダメですよ。

効果があるって論文もありますけど、つっこみどころ満載で信用する価値のない論文ですから。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
初めまして
分子標的治療薬について、いろいろ調べていて、このブログにきました。私の妻が乳がんで、術後補助療法のハーセプチンを使用するのですが、主治医の先生は1週間ごとの点滴と言っていました。いろいろこちらで調べて3週間に1回の点滴というのが多かったもので、先生に聞いてみたら、3週間ごとの点滴だと保険の適用外と言われてしまいました。唐突ですみませんが、実際の保険適用はやはり毎週の方だけなのでしょうか?
2008/05/30(金) 19:34:09
URL | カマカマ #-[ 編集 ]
生き方
患者さんやご家族と接すると、その人の人となりや生き方を垣間見させてもらえ、大切な人生の一部を共に歩ませてもらえると感じます。
AさんはAさんなりに、試行錯誤し、さまざまなものに

【いきる可能性】

を見いだしていきたかったのかもしれませんよね―…
医療者としては残念さも残ります。でも、本人の意思により、本人の気持ちが折れず、本人らしく生きられたことに安堵感を覚えました
2008/05/30(金) 21:20:31
URL | ティキぽん #Cu4OU15A[ 編集 ]
免疫って魔法
私も記事に書いた事ありますが、免疫って言葉はがん患者には魔法の言葉です。
一時期本を読んで免疫力upすれば、再発しないのではと思い込んだ事があります。

でも私は科学を信じているので、標準治療で打つ手があるのであれば、よっしぃ先生が言うように先にそちらを選ぶと思います。

ただ単純な疑問ですが、手術もして内科的治療も続行という手はないのでしょうか?
2008/05/30(金) 23:06:38
URL | ガーネット #0ll.HrS2[ 編集 ]
カマカマさん
私の専門は、肺がんですので、正直、ハーセプチンの保険適応がどうだかは知りません。

術後補助療法とすれば、ハーセプチンンとパクリタキセル(タキソール)でしょうか?
それならば、毎週投与の方が効果が少し高いのではないでしょうか?

ハーセプチンン単独投与がどうだかは知りません。1年ほど続けるんだなぁ位は知ってますけど。

ティキぽんさん
まあ、このようにして、私(われわれ、医療者?)は、いろいろ勉強させてもらってます。
同じような方が次にきたときに対応しやすいですからね。

ガーネットさん
いくら免疫力を上げても、がんは所詮自分の体から出てきたものです。
ですので、免疫をくぐり抜ける可能性も十分です。

>手術もして内科的治療も続行という手はないのでしょうか?
えーっと、これに関してはがんの種類によって変わります。
乳がん、卵巣癌などは、手術のあと(もしくは前に)に抗がん剤治療を行うことが多いです。
肺がんも一部行うようになっていますよ。
2008/05/30(金) 23:26:58
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
>つっこみどころ満載
な、論文って...。

やっぱり素人は、免疫って言葉に弱いかもしれませんね。
2008/11/23(日) 20:55:59
URL | Kei☆ #tHX44QXM[ 編集 ]
つっこみどころとしては、標準治療群の治療内容が一定でなかったりとか内容を評価するのが難しいのです。
つまり、エビデンスレベルの低いものでしかありません。

よって、信用に値する論文にはならないのです。
2008/11/24(月) 09:03:31
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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