~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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高齢者の抗がん剤治療 
2008/10/07 Tue 12:35
m3に去年の10月16日にエントリーした記事です。




小ネタ続きだったんで今日は、小ネタでないものを。

高齢者の治療はいつも考えさせられます。
ここでは、いつものように、高齢者肺がんについての話しです。

さて、高齢者の定義は何でしょうか?

1999年に70歳以上を対象とした臨床試験で1種類での薬剤で治療した群が、無治療の群より生存期間の延長とQOLの改善を認めた。
と言う内容の論文が発表されました。

この論文は、肺がん領域で高齢者を対象にして抗がん剤治療がいいとの結論がでた非常に有名なものです。

ここで、疑問があります。70歳以上が高齢者なのでしょうか?
今の、日本社会、70歳でも高齢者と言うにはあまりにも元気な方がたくさんいらっしゃいます。

一般的に、抗がん剤治療の適応を決めるのは、年齢、全身状態(見た目のこと)、合併症、臓器障害などです。

上記の臨床試験も、年齢は70歳以上なのですが、全身状態が比較的いい患者さんで、臓器障害、合併症がほとんど問題にならない患者さんばかりを登録して試験を行っています。

じゃあ、75歳以上で臨床試験をすればいいのか?
75歳でも若く見える人はどうする?

80歳以上の臨床試験?
登録できるかんじゃさん自体が少なすぎないか?臨床試験として成り立たない?

全身状態の悪い人だけで臨床試験する?

ちなみに、全身状態の指標はPS(Performance Status)であらわします。
PS0:無症状、1:軽度の症状があるが軽労働はできる。(家事、事務など)
2:歩行や身の回りの事ならできるが、時に介助がいる事もある。
3:身の回りの事はある程度できるが、しばしば介助が必要、日中の50%以上は就床している。
4:終日就床を必要とする。

PS3、4の人に抗がん剤を使用するのは倫理的に難しいですよね。しかも、判断にかなり主観が入りますよね。

ある臨床試験では、PS、臓器障害より年齢の方が延命効果に寄与したとの報告もあるようです。

どんなに考えても高齢者の標準治療ってものはなさそうです。
個々に主治医が判断するしかないなって思います。


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ちなみに、それ以後も高齢者には全身状態がよければ抗がん剤治療をした方がいいとの論文が出ています。

ガイドライン上は、

75歳未満で全身状態が良好な患者(PS0、1)に化学療法を行うよう強く勧められる。(グレードA)

75歳以上でも全身状態が良好な患者(PS0、1)に化学療法を行うよう勧められる。(グレードB)

となっております。



最終的には、ご本人さんの意志が大切なんですけど。

家族の方の意志と異なる事があるのでさらに、難しいですね。

高齢者ほど、治療関連死のリスクは高いですしね。




高齢者って言っても人それぞれ全然違いますからね。

この分野でのホントの意味でのエビデンスなんて出てこないんでしょうね。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
緩和目的の放射線治療は年齢制限なし!
緩和目的の放射線治療だったら年齢制限ありません

高齢者なら高齢者なりの放射線治療がありえます

化学療法ができない、手術ができない、と諦める前に、放射線治療の専門医に御相談いただきたいものです
2008/06/22(日) 23:48:14
URL | Med_Law #uIBCNEpQ[ 編集 ]
75歳でスキルス胃がんの手術をした人が居ます。
術前の抗がん剤 TS-1 は副作用も無く、 素晴らしい奏功でした。
もちろん全摘だったのですが、胃は病変の識別も困難なくらい綺麗な状態で、先生もビックリされていました。
全身状態は60歳くらいの若さとのことでした。
今現在もTS-1を服用中ですが、全く元気です。
人それぞれなので年齢だけでは判別は無理ですネ。

2008/06/22(日) 23:58:38
URL | hitomi #-[ 編集 ]
Med_Law先生
緩和に放射治療必要なことおおいですよね。とても大切だと思います。
ただ、放射線治療医の数が少ないのが。。
悩ましい限りです。

hitomiさん
そうなんです、年齢ですぱっと切れない面もありますからね。
胃癌なら90歳で手術する人もいるようですよ。
2008/06/23(月) 20:51:32
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
人それぞれでしょうね。
こちらでは初めて・・・かな?
2回目だったような。

俳優の緒方拳さん。
抗がん剤の治療も手術も拒んだ、という話をニュースで聞きました。

どの治療を選ぶかはほんとに人それぞれでしょうが、医学的な治療を全くしない、という選択肢もあるにはあるんですよね。

玄米や自然食中心の生活をされていた緒方さん、大好きなお寿司を我慢するのは辛かったようです。

もしも、なんらかの治療をすれば、お寿司も食べられただろうし、俳優として、もう少し、ご活躍も出来たのかな、と思うと少し残念な気持ちにもなりました。

どんな生き方を選ぶかは人それぞれなので、なんともいえませんが、ファンの方は、緒方さんの活躍、もう少し見たかったな、という気持ちも正直なところでしょうね。

ご冥福お祈りします。

2008/10/09(木) 10:35:59
URL | azuki #-[ 編集 ]
>玄米や自然食中心の生活をされていた緒方さん、大好きなお寿司を我慢するのは辛かったようです。

玄米や自然食は、ご自分の考えでされたことで寿司を食べることはなんら差し支えないと思います。
ですので、なんらかの治療をしたら寿司を食べれたかどうかはわからないし関係ないように思います。

その人の生き方で素晴らしい生き様であったと思います。
2008/10/09(木) 21:19:45
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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