~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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タルセバとイレッサ 
2008/09/11 Thu 12:34
昨年の12月17日m3ブログにエントリーした記事です。
タルセバが発売になったために書いてみました。



久しぶりにマニアックな話しをします。
タルセバもイレッサも分子標的薬です。

どちらもEGFRチロシンキナーゼ阻害剤と言う分類に入っています。
この酵素をブロックする事により腫瘍が増殖、転移、浸潤などをおこさないようになるのです。
飲み薬です。構造も非常に似ています。

何で、今この話題かというと今まで肺がん領域でこの系統の薬はイレッサだけでしたが、今月タルセバが発売になったからです。

ですので、治療の選択肢が広がったわけです。
では、どのようにして使い分ければいいのでしょうか?
もちろん、タルセバが新しく認められたわけですからイレッサ以上のメリットがあるのでしょう。

イレッサは、承認時の試験で250mg/dayと500mg/dayの量で検討が行われ、効果の差がほとんどないため承認用量が250mg/dayとなったいきさつがあります。

それに対して、タルセバは副作用として皮疹が95%以上の方に皮疹が出ます。(イレッサは、50から60%です。)
なぜなら、タルセバは副作用が許容できる目一杯の量が標準的な1日投与量と設定されたからです。(150mg/day)

ですので、有効濃度はイレッサの3倍あると言われておりイレッサよりも効果が期待できると言われています。

しかし、問題があります。

イレッサも発売後、イレッサによる肺傷害で多くの方が命を落としました。
現在、イレッサで肺傷害は5%程度おこり、そのうち約半分はどんな治療をしても死に至る事がわかっています。

この肺傷害の副作用は日本人に多く欧米人に少ないのです。

タルセバは、欧米ですでに使用されており安全性は確認できているのですが、日本人に使用した場合の安全性は不明です。

効果がイレッサよりあって、肺傷害の頻度がイレッサと同等もしくは少なければいいのですが。
今のところわかりません。

今あるデータは、日本人120名程度に使用したデータしかありません。
そのデータを信頼するならイレッサと同程度の肺傷害の発症率なのですが、イレッサはすでに何万人にも投与されています。

また、本当にタルセバにイレッサを上回る効果があるのかも使ってみてはじめてわかる事もあります。

個人的な意見としては、データがそろってくるまではタルセバはあまり使いたくないな。肺傷害怖いし。と言うような意見です。
イレッサが効かなくなった患者さんなら比較的安全に使えそうな気もしますので、そう言った患者さんを中心に使ってみたいとも思います。

タルセバとイレッサの違いわかった方『人気ブログランキング』へ←ポチッとお願いします。


イレッサとタルセバのすみ分けはどうなるのでしょうか?
ちなみに、タルセバは、1錠約1万円、イレッサは約7千円です。3割負担だと月にタルセバは10万円、イレッサは6万円です。(薬代だけですよ。)
コメント
この記事へのコメント
やっぱりねぇ~
お医者さんの立場だと、やっぱり承認されてもある程度日本人に使ってのエビデンス、データが集まらないと、新薬は使いずらいものなのでしょうね。
使う時は、もうこれしか手がないという患者に・・・と言う事になるのかな?
乳癌もアロマターゼ阻害剤を使う患者は、アリミデックスの後、フェマーラというお薬が承認されても、クリニックでは1年くらい使ってなかったような気がする。(私ではないですが)
とっても分かりやすいお話、ありがとうございます。

余談ですが、「螺鈿迷宮」は私の中では一番難解でした。
去年の夏「ブラックペアン1988」買いましたが、まだ読んでません。
早く読まないと、文庫になっちゃう! (@_@;)
2008/01/16(水) 23:31:24
URL | ガーネット #0ll.HrS2[ 編集 ]
お返事
そうですね。やっぱり、人種差がありますから。
最初は、どんなことが起こるかわからないと思いながら使っていきますのでね。

螺鈿迷宮は、医療関係者でないと難しいと思います。
私は面白くて、半日で読み切り、別の日にもう一度読んでしまいました。
ブラックペアンはまだ、読んでません。

2008/01/17(木) 17:27:32
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
読んでて自分の治療とだぶりました
昨年アバスチンが解禁になった時、怖くてやめましたから。主治医も日本人によるデータがすくないかったしすすめるまで進行してなかったと
でも、今はアービタックスが使えるようになったらどんなことが起きても使ってみたい。と思いますから
それにしても新薬は高いですね。経済の破たんが先か命の火消えるのが先か。。。ってブログ友がコメしてくれました。
2008/09/11(木) 20:51:28
URL | ran #LA1CAGAE[ 編集 ]
ちょくちょく拝見させていただいてます。
応援ポチッ!!!
2008/09/12(金) 11:07:26
URL | サトシ #-[ 編集 ]
ranさん
分子標的薬はめちゃめちゃ高いですね。
スーテント(スニチニブ)なんか1錠8千円で1日4錠3万円以上です。
それでも、アバスチンの価格は海外と比べたら安いようですよ。
そこまでして、医療費を下げようと国はしているようです。

本当に、近い将来分子標的薬は自費となるかもしれません。

サトシさん
ありがとうございます。
2008/09/13(土) 09:28:07
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
今父はイレッサを服用してます

が、やはり段々効果がなくなってきてるようでタルセバのことを先生からききました


やはりがんは治ることはないんですよね・・・
進行を遅くすることしか出来ないんですよね・・・
苦しいです
2011/01/11(火) 21:12:27
URL | 空 #-[ 編集 ]
空さん

タルセバに変更してもイレッサが無効なら厳しいです。(ただし、頭への転移であれば期待はできそうですが)

>進行を遅くすることしか出来ないんですよね・・・
イレッサは、どのくらいの期間内服できましたか?
少なくともイレッサが効いた時間だけはお父様の有意義な時間となっているのではないでしょうか?

人間、生まれた以上は必ず死を迎えます。
残された時間を有意義に使えるようにしてくれる病気と考えてはいかがでしょうか?

残された時間が10年以上あると何も感じないことが短いがためによいひとときを過ごせることもあると思います。
2011/01/12(水) 12:52:27
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2014/04/16(水) 17:05:29
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