~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2008/11/29 Sat 12:14
m3に去年の11月16日17日18日と3日に分けてエントリーした記事です。




もうずいぶん前の事です。

Eさんは、肺に影があるかたと当院に紹介されてきました。

その後、肺癌である事がわかり、抗がん剤治療を行いましたがしばらく経って再発がわかりました。

Eさんは、化学系の研究者でした。過去形なのはもう引退していたからです。
ですので、物事を非常に理論的に考えられます。

しかも、頑張りやさんです。

再発後の治療も頑張ってうけられました。

治療の合間には、スペイン語の本を読んでいます。

話しをしてみると、自分の頭を鍛えるためにとの事。
今までスペインに留学したとかの経験はなく、勉強が好きだからその一環でスペイン語も習いたいとの事でした。

また、理論的な化学者であるEさんは、人間の体は理論的でない事も十分に理解されました。
人間の体は個人個人同じでないと言う事も十分理解されていました。

肺癌についても非常に勉強されいろいろ質問されました。

それに対し、出来るだけの返事はしたつもりです。

おそらく、研修医の先生よりもは肺癌について詳しくなっていたと思います。

当然、今後自分がどうなるのかも理解されていました。
もしかしたら、その不安を消すために一生懸命自分が知らない事を勉強したりしたのではないでしょうか。

残念ながら、肝臓への多発転移を認めました。
さらに、Eさんの胸には水がたまってきました。

それまでは、自覚症状もなく見た目は元気でしたが、徐々に食事が取れなくなってきてさらに、息苦しさも出てきました。

Eさんと相談しました。

一般的に今の息苦しさを取るには外から胸水を抜くために管をいれて胸水をたまりにくくする薬を管を通していれてたまりにくくするのが標準的なんですけど。(胸膜癒着です。)

今のEさんの体力を考えると、管を入れないで比較的細い針でペットボトル1本程度抜いてみる方法がいいんじゃないですか。

ただし、すぐにたまって息苦しくなるかも知れませんが。

また、息苦しさを取るだけならモルヒネを使う事によって息苦しさは感じにくくなりますけど、根本的な解決ではないですね。

1時間くらいEさんと話しをしました。

Eさんは、今後の方針をどうするか考えていました。

つづく。

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肺がんが増悪して、胸水がたまり、息苦しくなってきました。食欲もかなり落ちてきています。

今後の治療方針をEさんと相談しました。

一般的に今の息苦しさを取るには外から胸水を抜くために管をいれて胸水をたまりにくくする薬を管を通していれてたまらないようにするのが標準的なんですけど。

今のEさんの体力を考えると、管を入れないで比較的細い針でペットボトル1本程度抜いてみる方法がいいんじゃないですか。

ただし、すぐにたまって息苦しくなるかも知れませんが。

また、息苦しさを取るだけならモルヒネを使う事によって息苦しさは感じにくくなりますけど、根本的な解決ではないですね。

1時間くらいEさんと話しをしました。

いろいろ考えたあげくEさんは、管を入れる方法を選択しました。

翌日に管をいれました。

薬の効果を出すためには胸水を出来るだけ少なくした状態で、水がたまりにくくする薬(抗がん剤など)を入れないといけません。

結局、管を入れた後、水がほぼなくなるまで1週間近くかかりました。

その間に、Eさんの体力はさらに落ちていました。

再度、Eさんと相談です。

『Eさん、管を入れる前より体力が明らかに落ちています。それは、Eさん自身もわかられていると思いますが。ですので、薬を入れないのも一つの選択だと思います。

薬を入れると一時的にしんどさが増す事はよくあります。

管を抜いて息苦しさが再び出たら息苦しさを取るような薬を使う方向が今のEさんの状況を考えたらベターではないかと思います。』

Eさんは、再び悩みました。今までも治療のポイントポイントで悩まれましたが。
今までのどの選択よりも悩まれています。
当然と言えば当然なのですが。

つづく。




肺がんが増悪して、胸水がたまり、息苦しくなってきました。食欲もかなり落ちてきています。

胸腔に管を入れたのですが、その間にさらに倦怠感が強くなってきており、水をたまりにくくする処置をするのがEさんにとって負担となりそうです。

実は、Eさん、今まで主治医のおすすめの治療をずっと選択されてきました。
ですので今回もそうされるものだと思っていました。

しかし、Eさんの口からは、
『先生、明日薬を入れてください。確かに体力が落ちている事は自分でもわかります。
でも、薬を入れる方法が一番いいように思うのです。
メリットもデメリットも十分理解しています。お願いします。』

Eさんが決めた事です。おそらく十分に考えた末に出した結論です。

『わかりました。じゃあ、明日しましょう。しんどいけど頑張りましょうね。』としか言えません。

薬を入れた後に薬を胸腔内(肺全体に)に十分行き渡らせるために、体の向きを30分おきにかえないといけません。

上向き、右向き、うつ伏せ、左向きって具合に。
意外とこれがしんどいのです。

Eさんは、自分の決めた事なので頑張っています。

各々の向きの時間が決められています。

マジメで頑張りやさんのEさんは、トイレに行った時間、しんどくて休憩してた時間は、タイマーを止めています。

普通ならゆうに終わっている時間なのに頑張っています。

『Eさん、もうそんなに頑張らんでいいじゃないですか?』

『いえいえ、きっちりしないと自分の中でのする意味がないもので。』

Eさんの頑張りもあってか翌日より胸水はほとんど出なくなりました。

Eさんは、非常に満足そうでした。

『では、レントゲンでよかったら、明日管を抜きましょうか?』

『はい、そうしてください。』

管を抜く日がやってきました。レントゲンもOKでした。
そして、管を抜きました。

Eさんは、嬉しそうでした。
でも、本当にしんどそうでした。

その日の夜、Eさんは永遠の眠りにつきました。

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Eさんは、最期の力を振り絞って頑張ったようです。

Eさんの希望を叶える事も大事です。しかし、なんだかやりきれない思いも残ったのでした。

Eさんのご冥福をお祈り申し上げます。




引張り過ぎとのおしかりを受けました。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
う~ん・・・
意外な結末にびっくりしました。
こんな風に意識もしっかりしてて、胸水も無くなって管も抜けたのに、
どうしてなんでしょう?

よっしぃ先生、以前の記事で数値で余命何日とかある程度分かるって
いうのありましたよね。
血圧とか、尿が出なくなるとか・・・・。そういう事だったのでしょうか。

いや~難しい選択ですね。
勉強になりました。この結末はちょっと考えさせられました。
2008/07/03(木) 00:11:26
URL | ガーネット #0ll.HrS2[ 編集 ]
ガーネットさん
わかるといっても、大体の予想です。
われわれの想像の範囲を超えることもあります。
おそらく、この胸水をなんとかしないとって思ってたのでしょう。
ほっとしたのもあったのでしょう。
ただ、がんばりすぎたので残り少ない体力を奪われたのでしょうね。

ほんと、難しいんですよ。
2008/07/03(木) 13:45:01
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
あ~っそうだった。
みなさん、ひっぱりすぎーって、
ぶーぶーコメントついてましたね。e-455

Eさん、いろいろ希望を叶えてくれた、よっしぃ先生に感謝してるかもしれないですよ。
2008/11/29(土) 18:40:48
URL | Kei☆ #tHX44QXM[ 編集 ]
は~い、私もぶーぶー言った一人で~すv-16
よっしぃ先生、この頃から比べると、随分と腕をあげましたね。そろそろ作家デビューで、ことり先生と肩を並べますかねv-222
2008/11/29(土) 23:18:45
URL | christmas #-[ 編集 ]
Kei☆さん
最初にアップしたのはもう1年以上前の話しなんですね。
もう、遠い過去のような。。。。

christmasさん
は、は。。。
私長い文章かけませんので。
これ以上引っ張れません。

ショートショートが精一杯です。

星新一とか好きでしたよ。
2008/11/30(日) 14:39:41
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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