~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2008/10/30 Thu 12:25
昨年の5月21日m3にエントリーした記事です。





もう、ずいぶん前のことです。

Kさんは、50代の男性でした。胸部異常陰影(無症状)で紹介され、検査の結果は、肺癌(腺癌)3B期でした。
標準治療である。抗癌剤と放射線の同時併用療法を行いました。
幸いなことに、2コース終了時点で非常に小さくなりました。(good PRの状態です。)

ただし、副作用はきつく1週間以上嘔気、嘔吐があり、点滴を要する状態でした。

医師側からすれば、非常に効果があり、若年者であり、3コース、4コースの抗癌剤治療を勧めるわけです。

しかし、Kさんは、『もうこれ以上抗癌剤はしたくない。』とはっきりおっしゃいました。

そこで、2コース終了時に奥さんに来てもらい、今までの経過で副作用はきつかったが、治療効果が予想以上によく、もう少しがんばりましょう。
ただし、副作用はきつかった(シスプラチンのためと考えてます。)ので副作用の弱い事が予想されるメニュー(カルボプラチンを含む)に変更してやりませんか?という内容の話をしました。

Kさんは、涙を流し出しました。
今までのKさんは、非常に気丈な方で決して弱音を吐くことのない人でした。
もちろん、今までKさんの涙を見たことは、ありません。そして、話し始めました。

『死ぬのはな、こわくないねん。入院していろいろ考えて、他の患者さんと話して覚悟はできてん。でもな、あの吐き気は、もう我慢でけへんねん。今日は、もう治療やめるって絶対先生に言おう思てたんや。でもな、家族のためには、もう少しがんばろうかな。わし、おらんかったら困るしな。でも、ほんまにつらいねん。いややねん。』

そして、何日かたった日。Kさんは、僕に言いました。
家族とよく相談したようです。

『先生、やっぱり、2回でやめるわ。先生が勧めてくれることは十分理解してる。完治をめざすんやったらがんばった方がええのもわかってる。でも、もう帰るわ。』

結局、Kさんは、再発しましたが、抗癌剤治療は拒否され、永眠されました。
医師としては、もう少しがんばって欲しかった。しかし、医師でない立場でKさんをみたら、よく頑張ったと思います。
それは、Kさんの生き方です。よく考えた上の結論です。総合的に考えるとこれでよかったのではないかと思います。

Kさんは感謝してくれました。

『後悔してないねん。今まで、ありがとう。』





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