~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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わかりやすい例え 
2009/02/10 Tue 11:58
CATEGORY【診療】
以前、『NHKスペシャルの編集』で紹介したブログでぜひひろめたい話しを見つけました。

「レジデント研修、医療の不確実性に挑戦」です。

レジデント研修では、毎回第3セッションで自由討論をします。
12月のテーマは、複合性局所疼痛症候群(CRPS)でした。

私も初めて聞く言葉ですが、
よく、検査で血液を取りますね。
静脈に針を刺して、血液を取るのですが、
そのときに神経を損傷して、腕に痺れや強い痛みが残ってしまうことがあるのだそうです。

完治まで半年近くかかったり、場合によっては完全に痛みが取れないこともあります。

で、これがどうして起こるのかという説明、発生する確率などについて研修医のほうからお話がありました。

要約すると血液と神経の走り方には個人差があるので、場合によっては針が神経に当たってしまうことがある。
一人ひとりの神経が腕の中でどのように走っているかを見極めることは出来ないので、これは「ミス」ではなくて「合併症」だということでした。

「医療の不確実性」という言葉があるのですが、医療スタッフが最善を尽くしても
望ましくない合併症が生じたり、何らかの後遺症が残ったり、場合によっては命を落とすことがあります。
その中にはいわゆる「医療ミス」ではなくて、一定の確率で起こることがあります。

この認識が、医療者と患者の間でずれているときにトラブルが生じます。
今回はこのギャップを埋めて、医療者も最善を尽くすし、患者も100%の安全はないということを理解して検査を受けることができるようにしたい。
そういう願いからディスカッションのテーマを設定しました。

12月、1月、2月と3回にわたって話し合って、最後には医療者、患者双方が納得して採血検査が出来るような掲示物を作ることをめざしています。

========================
引用終わり

素晴らしい試みです。

「複合性局所疼痛症候群」の解説はここがわかりやすいかな。

どんくらいの頻度かというと極めて稀です。

『末梢静脈穿刺後後遺症軽症例の検討』という学会発表の要約をみると

当院では1年間に採血や点滴を合わせた静脈穿刺はおおよそ168,000件行われており、一定の頻度(約0.007%)で末梢神経障害疑い症例が発生している。今回は2003年1月から2005年11月までの35ヶ月間に当科で対応した症例の中で、説明のみまたは1回だけの治療や投薬によって解決した軽症例について、発生状況、治療内容、所見、愁訴等について検討した。

[結果]期間中の軽症例は28例で、年齢17~83歳、男14例、女14例であった。説明のみで解決したものが15例、1回だけの治療や投薬を行ったのが13例であった。発生時に電撃痛を伴った症例はなかった。治療としてはレ-ザ-照射5例、リドカインテ-プ貼付3例、ステロイド局注2例等であった。投薬としてはメコバラミン8例(内ノイロトロピン併用4例)であった。初診時にTinnel徴候陽性が3例で交感神経症状を呈していたものはなかった。愁訴ではしびれが21例、痛みが13例、脱力が7例であった。愁訴の組み合わせではしびれのみが10例、しびれと脱力が6例、痛みのみが5例、しびれと痛みが4例であった。

[考察]末梢神経の損傷が疑われても大部分は大事に至ることなく自然治癒すると考えられるが、時にはCRPSへと進展する危険性もあり注意が必要である。また、軽微なものであっても本人の受けとめ方と病院側とで差がある場合には事態が大げさなものになる可能性もあり、慎重な対処が必要とされる。

[結語]35ヶ月間で末梢静脈穿刺後後遺症軽症例を28例経験した。交感神経症状を呈していたものはなく、愁訴ではしびれが21例、痛みが13例、脱力が7例であった。

重臣宗伯1佐藤ワカナ 1越村裕美 1山口公明 1円山啓司 2(市立秋田総合病院麻酔科1市立秋田総合病院手術室2)

1年で0.007%で採血の合併症が起こるのですが複合性局所疼痛症候群は1例もありません。

それだけ頻度の低いものなのです。

私も、10年以上医療現場にいますけど実際に複合性局所疼痛症候群と言われた患者さんと接したことがないくらい頻度が低いです。

ただ、1人だけ疑わしい方はいましたけど。

でも、実際に起こればミスしたからではないのかと患者さんや家族が思うことは無理からぬ事だと思います。

ただ、ミスと言われると『ミスではないです。合併症なんです。』としか説明できません。

なぜなら、医療者側に落ち度がないからです。

非常に不幸なことだとは思いますけど。

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ですので、こんな事が起こってすまない気持ちになるのは当然でそれに対して遺憾の意を表すことになります。

ただ、それはミスをしたから謝罪したわけではないのです。

引用ばかりですみません。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
医療事故と医療ミスの線引きはビミョウで難しいですよね。一般の方にとってはイコールになっている場合も多い気がします。
眼科は訴訟は多くありませんが、若い先生の手術事例で起こった合併症のあと、主治医が発した「すみません」の言葉をとらえて、「ミス」したんだからと訴訟になりそうになったことがあります。
今のように、インフォームドコンセントが厳密でなかった時のことですが。
2009/02/10(火) 14:32:37
URL | みぃ #-[ 編集 ]
ミスじゃないのに
一般の人にも「医療の不確実性」とか「医療ミス」について考える機会が多く与えられるようになったのは最近ですよね。

私も義母が肺ガンになったことでいろいろなことを知りました。
が、今でも「医者のミスのせいで母さんは死んだ。病院に殺されたみたいなもんだ。」と言ってはばからない義父を見ていると悲しくなります。 

義父にはインフォームドコンセントが理解できません。病気になったらすべてを医師にお任せするもの。医師は病気を治してくれる神様のような存在と位置づけられているのかもしれません。だから、義母のように思いもかけず容態が急変して亡くなってしまうとその事実を受け入れられないのです。その心の隙間を埋めるために、治療に携わった医師を悪く言うことしか出来ないのです。

私はよっしぃ先生のブログを偶然見つけることができて改めて、病気に立ち向かうということがどういうことなのか、何が大切なのかに気が付きました。
人の命と真正面から向き合うという大変なお仕事の中から大切なことを発信してくださるよっしぃ先生、これからもお邪魔しますね。
2009/02/11(水) 07:07:20
URL | ダイヤモンドダスト #-[ 編集 ]
みぃさん
>医療事故と医療ミスの線引きはビミョウで難しいですよね。一般の方にとってはイコールになっている場合も多い気がします。

正直、専門家でないと理解は難しいと思います。

遺憾の意を表す言葉が難しいですね。
『大変、お気の毒に思います。』くらいだ妥当なのでしょうか。

個人的には、『すみません。』でいいと思うのですが、それだと落ち度があったと考えられてしまうのでしょうね。

ダイヤモンドダストさん
>病気になったらすべてを医師にお任せするもの。医師は病気を治してくれる神様のような存在

そんなことないんですけどね。
特に、内科医は患者さんが持っている治す力を最大限に引き出せるように薬を使ったりしたり、もしくは症状を楽にしたりしている程度なんですけどね。

また、これからも宜しくお願いしますね。

2009/02/11(水) 09:59:16
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
生意気にも。
尼崎医療生協病院の件(tb出来ませんでしたが)で、「医療ミスではない」云々と書きました。

・医療ミス=単純な手法や操作の誤り
・合併症=その治療や検査において、必然かつ合理的に発生してしまうことが少なからずあり、避けることが困難であることが医学的に立証できる

・・・じゃないかと思うのですが。
不適切な表現等ありましたら、ズバリ指摘してくださいね。
2009/02/11(水) 10:20:03
URL | azuki #-[ 編集 ]
>・医療ミス=単純な手法や操作の誤り
・合併症=その治療や検査において、必然かつ合理的に発生してしまうことが少なからずあり、避けることが困難であることが医学的に立証できる 。

理解としては、いいんじゃないでしょうか。

>避けることが困難であることが医学的に立証できる 。

避けることが不可避なもの程度でしょうか?
医学的にどう立証するか?これが極めて難しいもので専門家のコンセンサス程度しかないのではないでしょうか?

2009/02/11(水) 21:35:45
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
医療ミス
重いテーマなので軽々しく言えないのですが、
患者側にしてみると「神経を刺さないように気を付けて欲しかった」と思うのは自然だし、
医師からすれば「神経の走り方は人によって違うので、医師に落ち度はない」と考えるのは無理ならぬことでしょう。

でも、医師は誠意を患者に示して欲しいし、患者は医療について最低限理解することが必要だと思います。

その上で信頼関係を築いていくことが必要だと思います。
2009/02/14(土) 21:18:49
URL | Yusuke #-[ 編集 ]
誠意を示したいのはもちろんなのですが、それが逆手に取られてしまうことがあるので。

ここの理解の差が一番難しいと思うんですね。

どうすれば、よりよいんでしょうね。
2009/02/14(土) 23:23:42
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
誠意
誠意が逆手に取られるようになれば人間関係もおしまいですね。
でも、モンスターペアレントやクレーマーといった人が増えつつある現在、真正直だけでは駄目なんでしょう。
アメリカのような訴訟社会になって欲しくはないですが、それも念頭に置かざるを得ないですね。
2009/02/18(水) 12:49:46
URL | 優介(Yusuke) #-[ 編集 ]
アメリカのような訴訟社会の方がいいのかもしれません。

なぜなら、慰謝料は発生しますが、刑事事件になることはまず、ありません。

その方が医者は安心して医療を行うことができます。
2009/02/18(水) 20:22:58
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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