~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2009/03/08 Sun 09:30
結構大きな梗塞でした。

もしかしたら、腫瘍塞栓(がんが脳の血管につまって梗塞をおこす。)かも知れません。

脳梗塞の治療をしながらMさんの回復を待ちました。

病状は安定していましたが、再度梗塞をおこすと命にかかわるかも知れない話しを息子さんにしました。

1週間くらい経った頃でしょうか。

Mさんの容態がおかしい。

自らしゃべることはなかったのですが目を開けてうなずいたりしていたのですが、目を開けることがなくなっています。

CTを撮りましたが、前回のCTと比べてさほど変化はありません。

息子さんに、よくなる可能性は極めて低いこと。を説明しました。

その翌日、息子さんは尊厳死協会のMさんがサインをした書類を持ってきました。

尊厳死の宣言書
 私は、私の傷病が不治であり、且つ死が迫っている場合に備えて、私の家族、縁者ならびに私の医療に携わっている方々に次の要望を宣言致します。
 この宣言書は、私の精神が健全な状態にある時に書いたものであります。
 従って、私の精神が健全な状態にある時に私自身が破棄するか、又は撤回する旨の文書を作成しない限り有効であります。 
  
① 私の傷病が、現代の医学では不治の状態であり、既に死期が迫っていると診断された場合には徒に死期を引き延ばすための延命措置は一切おことわりいたします。

②但しこの場合、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施して下さい。
そのため、たとえば麻薬などの副作用で死ぬ時期が早まったとしても、一向にかまいません。

③私が数ケ月以上に渉って、いわゆる植物状態に陥った時は、一切の生命維持装置を取りやめて下さい。
 
以上、私の宣言による要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従って下さった行為一切の責任は私自身にあることを附記いたします。

この書類にMさんは、署名捺印をされていました。

息子や他の家族に、延命治療をしないと言うことは人工呼吸器を使ったりとか心臓マッサージなどは少なくとも行わないということを説明しました。

『少しでも、長く生きていて欲しい。』

と言ったあと、少し考えたいと。

家族の気持ちとしては、少しでも長生きして欲しいというのは当然の願いです。

ただ、Mさんの場合はご自身で尊厳死を選択されています。

もし、息子さんが出来る限りの治療をして欲しい。と望まれた場合、私はどうしたらいいか悩みました。

息子さんは、返事をもう少し待って欲しい。としか言いません。

Mさんが亡くなられたあとのことを考えれば息子さんの希望通りの治療をした方がもめなくてすみます。

ただ、現在のMさんの意志は確認しようもありませんが、尊厳死を望んでいた方です。

私の正直な気持ちとしては、息子さんがなんと言っても人工呼吸器などは使わないでおこうと思っていました。

そうした場合、息子さんからなんと言われるかわかりません。

再梗塞から1週間ほどたった日、息子さんからMさんの希望通りにお願いします。との返事をいただきました。

正直、ほっとしました。

その日の夜、その光景を見ていたかのように、Mさんは息を引き取りました。

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テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
尊厳死
「尊厳死」
現在、生きるために頑張っておられる方もいらっしゃるので、あまり軽率なコメントはできないですが、人生の最後を自分の意思で決めるという素晴らしい「生き方」かもしれませんね。
でも、生きようと言う意思がとても大事なことは言うまでもないことだと思います。
2009/03/08(日) 23:11:34
URL | 優介 #-[ 編集 ]
 以前よっしぃ先生に、末期がんの人が生命維持装置をつけても、生きながらえることはない、とのご回答を頂きました。なので、Mさんのような状態になったら、私が息子さんの立場ならば、装置着装はしないようにしようと思っていました。
 しかし実際に、自分の希望という目を通して患者を見ると、まだまだいけるんじゃないかって、また違った情景が見えてくるものなのかもしれない、、、なんて考えてしまいました。
 また、自分ががんで死ぬのなら、生命維持装置を付けても植物状態で生きることなないとも思ったので、尊厳死の宣言書はなくてもいいかと思っていたのですが、このトピックを読むと、やはり作っておいた方がいいのかなあとも思います。

 考えされられるトピックでしたね。
 よっしぃ先生、「Mさんの容態がおかしい。」で、ぶっ切ればよかったんですよ。次の回に生かすべく、学習してくださいねv-238
2009/03/09(月) 15:47:26
URL | christmas #-[ 編集 ]
目に見えない命の尊さ
もし自分が不治の病になったら・・と考え込んでしまいました。

いえ、長期療養になるとは限りませんよね。どんな場合でもいつか人間には死が訪れるのだから、Mさんのように準備をしておくことが望ましいのかもしれませんね。

医学が発達して、昔は助からなかった命が助かることも多くなりましたが、何事もなかったかのように元の生活が出来るまで回復するとは限らない・・。
だからこそ命の終わり方に自分の意志を持たなければいけないのですね。
2009/03/09(月) 16:40:04
URL | ダイヤモンドダスト #-[ 編集 ]
>優介さん

>人生の最後を自分の意思で決めるという素晴らしい「生き方」かもしれませんね。
がんばるのも人生、がんばらないのも人生だと思います。
苦しんででも少しでも長く生きるのをよしを考える人もいます。
それならば、短くても苦しまないのをよしとする人もいます。
もちろん、苦しまなくて長くがいいに超したことはないですけどね。

>christmasさん
しかし実際に、自分の希望という目を通して患者を見ると、まだまだいけるんじゃないかって、また違った情景が見えてくるものなのかもしれない、、、なんて考えてしまいました。

そうですね。実際に体験すると頭で考えていたのとは違うのでしょうね。
脳死の場合が特にそうではないでしょうか?

> よっしぃ先生、「Mさんの容態がおかしい。」で、ぶっ切ればよかったんですよ。次の回に生かすべく、学習してくださいね

はっはい。
2回に分けるときはだいたい真ん中でとしか考えてなかったもので(汗)
勉強になりました。

>ダイヤモンドダストさん

>長期療養になるとは限りませんよね。
そうです、事故でぽっくり逝くかも知れないし。
何が起こるかわかりません。

>医学が発達して、昔は助からなかった命が助かることも多くなりました。

だからこそ余計に自分が判断できない状態になる可能性は昔以上にあるわけです。
でも、死について考える時間は昔より少なくなっています。
多くの人はほとんど考えたことがありません。

だからこそ、元気なときに一度考えていて欲しいと思います。
2009/03/09(月) 19:14:19
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
尊厳死の定義とは?
「日本尊厳死協会」なる会があることは知ってました。
が、死に尊厳も何もないのでは?と。

実はこの正月に、父が癌死しました。
前年春に「扁平上皮癌」だと家族も聞いてたのですが、高齢だし本人が嫌がるので、手術せず放射線と抗ガン剤をしていくことだけ告げられ、まさか1年持たないとは考えもしませんでした。

ま、それはいいんですが。
癌なのに在宅で寝たまま逝ってしまったんです。
暮れから相当体調は悪かったんですが、どうしても病院をいやがり、スープを少し口にするだけで寝たきり。

そんな死に方をさせてしまって、どうしても「意思尊重」とは思えないんです。後悔ばかり。
重体であることに気づいてやれなかった言い訳な気がして…。

部屋を片付けてたら、全く手付かずの薬の袋がてんこ盛り。
どうも定期外来も、行くふりしてサボってたようで怒りすら湧いてきました。
これが「尊厳死」なら、何かが違う。
少なくとも、家族と意思疎通してなければ単なる身勝手なだけ。

悔しさと申し訳なさとで、まだ納得がいきません。
尊厳があろうがなかろうが、死は死でしかないんです。
無論、入院させてたら納得いく終末期をすごせたとは言えませんが…。
2009/03/17(火) 02:33:39
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>どうしても病院をいやがり、スープを少し口にするだけで寝たきり。
>そんな死に方をさせてしまって、どうしても「意思尊重」とは思えないんです。後悔ばかり。

私からしたら、いい最期だと思うのです。
やはり、病院がイヤな方はイヤですからね。

ただ、女王様が納得いかない気持ちも理解できます。
その理由は、最期を迎えるときにどのような状況がお父さんにとってよりベターなのか考える時間がなかったからではないでしょうか。

>入院させてたら納得いく終末期をすごせたとは言えませんが…。
中には、入院していてもなんとか家に帰りたいと訴える方もいますよ。

尊厳死を考えるときは、ご自身だけではなくご家族(特に同居の)の気持ちも考えないと女王様のような経験となると思います。

終末期を考えるのにあたってのエントリーを本日アップしましたのでご参照ください。
2009/03/17(火) 11:59:47
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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