~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
スポンサーサイト 
--/--/-- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
TRACKBACK --  |  COMMENT --  | 編集
抗がん剤開発のはやり 
2009/06/03 Wed 13:00
以前、抗がん剤についていろいろと述べました。

抗がん剤について

昔からある、いわゆる抗がん剤の話です。

この種の抗がん剤を開発するときは、試験管の中でがん細胞と薬を混ぜて抗がん作用がみとめられたら(この段階では星の数ほどあります。)次に、マウスやラットなど動物に使ってみます。

その時点(生体に投与した時点)で多くのものは抗がん作用がなくなっています。

もしくは、副作用が強すぎて使えない場合もあります。

そのうち、非常に有望なものが人間にも応用されているのです。

ですので、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。みたいにて開発が行われていました。

分子標的薬とは

それに比べて分子標的薬は、腫瘍内の転移、増殖、浸潤などのシグナルを止めるためにはどんな形をした分子なら止められるかを考えてそれに近い形になる薬剤を創薬していきます。

ですので、あらかじめターゲットがあってそれに合うように作っているのが分子標的薬でいままでの抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)とはその意味においてもことなります。

新しい抗がん剤の誕生

そして、臨床試験を経て抗がん剤として認可されています。

ですので、最近は分子標的薬花盛りで殺細胞性抗がん剤の開発はかなり下火です。

2000年以降FDA(アメリカ)で認可されている薬剤の半分以上が分子標的薬です。

近い将来、4分の3が分子標的薬となるそうです。

特に、新規の殺細胞性抗がん剤はそうです。

新規でない殺細胞性の抗がん剤って何?と思われるでしょうけど今から説明します。

今認可されている殺細胞性抗がん剤の副作用を抑えたりとか薬物の腫瘍内濃度を上げたりといったような方向で新たな開発がすすめられています。

すでに認可されているものではTS-1やカペシタビンが挙げられます。

これらは、5FUという薬剤の副作用を軽減してかつ長時間効果が持続するように工夫された薬剤です。(分解を阻害剤を配合したりしている)

最近では、リポソーム化することにより腫瘍内の薬物濃度を上げ、腫瘍以外の濃度を下げて副作用が少なくなるような工夫しているものがあります。


薬がない~ドラッグラグ
で紹介し卵巣癌でも認可されたドキシルが代表です。

アルブミンとくっつけて水に溶けやすくすることでアレルギー反応を起こりにくくしたりしています。

代表はアブラキサンといいよく使用されるパクリタキセル(タキソール)のアルブミン化製剤です。

アレルギー、骨髄抑制(白血球などが減少すること)の頻度は減ったのですが、末梢神経障害(しびれ)は増加したそうです。

さらにミセル化することによって水に溶けにくい薬剤を溶けやすくしたりしています。

ミセル化の利点の例をあげます。

たとえば、パクリタキセル(タキソール)なる抗がん剤があります。

多くのがん種で使用されています。

この薬剤の使いにくい点は、水に溶けにくくひまし油の一種であるCELという油に溶かして点滴で使用します。

この油に対してアレルギー反応が起こることがおおく、アレルギーを予防するためにアレルギー予防の薬を点滴してかつ、3時間かけて投与する方法が一般的です。

ミセル化することによりアレルギー予防薬なしで1時間の点滴時間でもアレルギーはほとんど起こらないようです。

点滴時間が短くなると患者さんは非常に楽です。

また、イリノテカンという抗がん剤は、体内でSN38という物質にかわりこれが抗がん作用を持っており効果を発揮します。

ですので、SN38を直接投与した方がよいのですが水に溶けないのでイリノテカンという形で投与していました。

SN38をミセル化することで水に溶かすことができ投与可能になるのです。

ほかにも、シスプラチンという昔から使われている腎毒性が強い抗がん剤があります。

腎毒性が強く腎保護(腎を守る)のために水負荷といって2000ml程度の点滴を抗がん剤以外に行うことが多いです。

ミセル化したシスプラチンでは水負荷なしでの臨床試験が行われています。

このように、既存の抗がん剤になんらかの工夫を加えることにより、既存の抗がん剤以上のメリットを得ようというような流れになっています。

わかりましたか?難しかったですかね。『人気ブログランキング』へ←ポチッとお願いします。

また、分子標的薬の中の抗体薬(大分子化合物ですね。)にもポテリジェント抗体という技術があり、それを用いることにより100倍の効果が得られるようです。

つまり、100分の1の量で同じ効果が得られるみたいですよ。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

タグ : 新規抗がん剤

コメント
この記事へのコメント
開発は良いことだけど
ちょっと お値段が心配になってしまいますね。でも副作用を軽減することで治療の負担が少なくなる方向性は大いに賛成です。最近の私の中では、がんは怖い病気というより治療にお金がかる病気という印象に変わりつつあります。
2009/06/03(水) 21:08:24
URL | あずき #-[ 編集 ]
難しいことは分かりません でも、将来に向けて現在より少しでも有効な薬ができればいいなとは思います。分子標的薬も、最初は「副作用の少ない夢の抗がん剤」というイメージだけが一人歩きしていた気がします。

義母のことを思い出すたびに抗がん剤の副作用の恐怖も蘇ってきますね・・。(こればかりは人それぞれで現れ方が違うことは分かっているつもりなんですけど)
2009/06/03(水) 21:32:08
URL | ダイヤモンドダスト #-[ 編集 ]
>あずきさん
確かに、新規抗がん剤の値段は驚く者がありますね。
お金のことを心配する患者さんも増えたような気がします。

>ダイヤモンドダストさん
>分子標的薬も、最初は「副作用の少ない夢の抗がん剤」というイメージだけが一人歩きしていた気がします。
そうですね。
最近は、分子標的薬特有の副作用が言われています。
もちろん、それに対する対策もすすんでます。
2009/06/04(木) 12:16:32
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
やっぱり…
新規の抗がん剤はお値段もそれなり、ということも多いのですね。近いうちにがんの保障付きの保険に入る予定ですが保障を良くすると掛け金も上がりますから考えるところです。。治療もがんの場合特にお金と相談、という側面の顕著化が今後の傾向でしょうか…。
2009/06/04(木) 18:08:09
URL | あずき #-[ 編集 ]
なかなか難しいですね~
抗ガン剤はやはり、基本的にハイリスクハイリターンなんでしょうか。

抗ガン剤投与を始めた途端、みるみる弱ってしまうことって多いですよね。
入院してしばらくは、病人とは思えなかったのに…って。

父の場合、肺ガンと言えばイレッサだという知識しかなかったので「イレッサは?」と伺ったんですが。
扁平上皮癌のような典型的タバコ癌には、効果がなくてリスクが高いから使えないとのことでした。
初耳でした。
とりあえず1クール点滴して、退院してからその先を考えていきましょうって話でしたが。

たった1日使っただけで、口の中がまずかったり体がだるくなったりで、本人はそれだけで参ったようです。

ちょうど去年の今頃。
父はタキソール・愛犬はオンコビンのお世話になっていました。
何故か獣医の方が、1回の費用とか好酸球やら好中球の数値を、こと細かく説明してくれましたね。

TS1カプセルだのシスプラチンだのジェムザールだのいろんな単語が出てきて。その度に検索する日々だったのを思い出します。

この10年で、抗ガン剤はとても進化してずいぶん副作用が小さくなったんだそうですね。
それでもやはり、ないワケじゃないし。費用もかかかります。
どんどん開発されて値段が下がるといいですね。
2009/06/04(木) 22:13:15
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>あずきさん
高額医療制度があるから大きな問題はないかと思いますけどね。

>女王様
>抗ガン剤はやはり、基本的にハイリスクハイリターンなんでしょうか。

ハイリスクハイリターンもあればローリスクローリターンもあり、また、ハイリスクローリターンもあります。

>抗ガン剤投与を始めた途端、みるみる弱ってしまうことって多いですよね。
個人的にはそれほど多くはないと思います。

>獣医の方が、1回の費用とか好酸球やら好中球の数値を、こと細かく説明してくれましたね。
獣医さんは自費での診療だからじゃないですか。

>この10年で、抗ガン剤はとても進化してずいぶん副作用が小さくなったんだそうですね。
進化していますが予想外の副作用も出たりして。。。
難しいですね。

2009/06/05(金) 12:12:27
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://tugagu.blog34.fc2.com/tb.php/386-bc72d406
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

copyright © 患者と医者をつなぐもの all rights reserved.


template by http://flaw.blog80.fc2.com
Powered by FC2ブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。