~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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EBMとNBM 1 
2009/06/19 Fri 12:40
CATEGORY【診療】
EBMって、聞いたことありますよね。

Evidence Based Medicineの略で日本語では、『根拠に基づいた医療』と訳されています。

ひと言で言えば過去の疫学的(統計的)データに基づいた医療です。




治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し、時には新たに臨床研究を行うことにより、なるべく客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら、患者とも共に方針を決めることを心がける。



wikipediaより引用しました。

以前、『エビデンスのレベル』というエントリーでエビデンスのことについて触れましたが今回も似たような話です。

EBMとは、簡単に言うと過去の臨床試験などの成績からよりよい治療戦略を導こうというものです。

なるべく、主観を排除して客観的にみようとしている一面もあります。

EBMの実際は、まず『臨床上の疑問の定式化』して、それにあう『系統的な情報収集』を行い集めた情報を『情報の批判的吟味』して臨床上の疑問を解決できるものかどうかを考え最終的に『自分の患者への適応』できるかどうかを判断します。

ですので、一般的な状況で患者さんにあてはめることはできるのですが、一般的でない患者さんに当てはめることは難しいのです。

一般的でないとは、高齢過ぎたりとか、肝機能が悪かったりとか、何らかの問題を抱えていることです。

また、患者さんの集団で考えると正しいのですが、個人個人に当てはめると正しいとは限らないのです。

例えば、100人の4期の非小細胞肺がんの初回治療の患者さんにAという抗がん剤を使ったならば30人の患者さんのがんが半分以下に縮小し、50人の患者さんがあまりかわらず、20人の患者さんが大きくなったとします。

そうした場合、大きさが半分以下になるのが30人以上ある治療法が他にない場合は、当然初回治療としてAという抗がん剤がすすめられるわけです。

ただ、Aという抗がん剤は、今から治療をはじめてみようとするBさん(一般的な患者さんとします。)にとって効果があるかどうかわからないわけです。

もちろん、半分以下に縮小する可能性は30%見込めるわけですが、BさんにとってAという抗がん剤が効くかどうかはやってみないとわからないのです。

ただ、Aという抗がん剤よりも効果の見込める治療がないからAという抗がん剤を使うわけです。

あと、Bさんが一般的な患者さんの状態から外れていた場合は効果の予測すら難しいことがあります。

ですので、EBMにおいて大切なことは、目の前の患者さんにそのエビデンス(根拠)を当てはめることができるかどうかが非常に大切なわけです。

ここ数年、EBMに対して『NBM』(Narrative Based Medicine)という考え方が出てきたようです。

Narrative(ナラティブ)は物語の意味で、患者さんとの対話を通じて、抱えている問題に対して全人格的に対応していこうとするものです。

EBMの過剰な科学性を補完することが主な目的だと思います。

再び引用します。




物語りという意味について、説明しますと、
   
   『王様の死、王妃様の死』

という言葉があります。最も単純な物語は、
 

『王様が亡くなりました。王妃様がなくなりました。』

となります。これでも一定の意味をなしますが、さらに

『王様が亡くなりました。そのあとすぐ王妃様がなくなりました。』

という文=物語りとなりますと、→時間経過に沿った物語りということになります。

さらに、

『王様が亡くなりました。悲しみのあまり王妃様が亡くなりました。』

という物語では、

→因果的に意味づけられた物語り

となります。

このように同じ王様の死・王妃様の死ということでも物語は、いろいろなかたちを取ることとなります。

別のひとにとっては、別の物語があるかもしれません。

どちらが正しいかと言うことではない、ということがここでの物語で大切な一面です。



長くなりそうなので続きは次回にしたいと思います。

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参考『NBM入門~NBMってなに?』

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
はじめまして
とても興味深い記事をありがとうございます。

前半部分は少し難しくてわからなかったのですが・・
後半の物語は少しわかりました^^

私は患者の立場になりますが、医者に行くというのはとても不安です。
その時に根拠のある医療(+説明)やその人の意思にあった医療ができるお医者さんに出会えたら幸せですね。

駄文失礼しました。
2009/06/20(土) 10:22:14
URL | washbook #-[ 編集 ]
はじめまして。

病院にかかったことのない人はあまり知らないかもしれませんが、多くの医師はきちんと説明していると思いますよ。

ただ、医療者からしての常識がない場合(例えば日曜日に病状説明を求めるなど)は困りますけどね。
2009/06/20(土) 20:36:21
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
難しい…
患者さんは十人十色ですから、通り一遍の常識では計れないですよね。

一応の物差しはあるでしょうが、あまり型にはめて考えないで頂きたいと思います。

と言うのも。
今歯科治療中なんですが、昔抜髄済みの歯の根が炎症起こしまして。
この歯科医師は「薬で散らしてごまかすか抜歯しかない」と言うんです。
詰め物外して再治療できないんですか?と尋ねても「どうせムリ」の一辺倒。
半年で3度目の炎症ですから、散らしても早晩また発症するのは目に見えてるし、何も解決しない。
かと言って安易に抜いたら、二度とはえて来ないですからね。

患者としては、極端な2択じゃ困ります。
「ダメもとでやってみましょう」というお医者様の方がありがたいのです。
例えとしては変ですが、なんだか「乳ガンです。乳房取りますか?緩和ケアにしますか?」って言われてるようなものです。

その治療が合うか合わないか、効果的かどうかはわからない。
でも、試す価値はあるはずです。
それを提供してくれるのが、いい医師なんじゃないでしょうか。
その為には、お医者様はなるべくたくさんの臨床経験がなくては。

私の行った歯科医は、まだ30になるかならないかの開業医です。
恐らく、マニュアル通りにしか出来ないのでしょう。
患者の希望や願いまで汲み取る余裕がないのかも?
それが一方通行の医療、高くぶ厚い壁になっちゃうんですよね。

ガイドラインは必要ですが、そんなものにこだわってたら個々の症状には対応出来ません。
柔軟性がない医師には、患者はついて行きませんよ。
2009/06/22(月) 03:18:44
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
両輪ですかね…
マニュアルよりも個にあった医療というのは大切ですがある程度マニュアルも必要ですよね。初めから効果があまり期待できない治療はできないし。
2009/06/22(月) 12:35:06
URL | あずき #-[ 編集 ]
>女王様
>一応の物差しはあるでしょうが、あまり型にはめて考えないで頂きたいと思います。
もちろん、病状が全く同じ患者さんはいません。
ですので、同じ症状でも異なる治療をする場合があるわけで、マニュアルどおりではありません。

歯科医でないのでよくわかりませんが、今の歯科技術なら抜歯をするデメリットは低いと考えられているのかも知れません。

もちろん、歯をどれだけ大切に思うかは個人個人異なりますので女王様の歯の件に関しては、その部分でNBMの出番かも知れません。

ちなみに女王様の歯のEMBは、半年で3回炎症を起こした場合に抜歯しなければ何%の方が再度炎症を起こすかを論文で調べなければなりません。(調べてもわからないかも知れませんが)

例えば100%ならば女王様がいくらお願いしても抜歯をすすめる歯科医がいい歯科医でしょうし。

70%ならば抜かないでかけてみるのもひとつの手でしょう。

30%で抜歯をすすめるのはどうかと思いますね。

そのあたりはどうなんでしょうか。
一度聞いてみてはいかがでしょうか?

私の方針と患者さんの意見が違った場合は予想される率をお話しして方針を決めるようにしています。

>あずきさん
もちろん、マニュアル(ガイドラインなど)はあった方がよいです。
ただし、しばられてはいけません。
2009/06/22(月) 13:22:29
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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