~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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EBMとNBM 3 
2009/06/27 Sat 08:11
CATEGORY【診療】
とうとう、最終回です。

また、引用からはじめます。



NBMとEBMの統合的実践

EBMを進めていくときにしばしば陥る問題があります。

エビデンスの臨床利用において避けられない難問 アポリアです。

例えば、この薬は約50%の効果がありますと申し上げますと、患者さんはつぎにその薬で私は直りますか?と問いかけがあります。それには答えられません。

この限界は、医者の勉強不足のせいでなく、技術不足でもありません。

もともと、出来ない相談なのです。

個人の未来予測における難問 アポリアは、EBMでは解けない、対応できないことです。

どうしてこれを解消するか?一般的な情報をここのケースに当てはめるか?もちろん、100%の答えはありません。

これに対しての対応法がNBMといえます。

1)3つの考え方がある

EBMとNBMの関係は3つ考えられています。

・EBM、NBMは、相互に補完的 EBMが完成する 楽観的な考え方

・別々のモノであるが、患者と医師の出会いの場面において共存しうる慎重な考え方

・異なる2つの世界観であるが、医師と患者の対話におけるNBMはEBMを 包摂統合するという考え方  




EBMの限界をNBMで何とか埋めようとしています。

そして、実践例へ(またまた引用ですが)



第三の考え方について具体的に考えてみましょう。

舌痛症の例

→何をのぞんでいるか? 無知の質問 聞かないとわからない
1)listening  聴き取り
  最初患者の憂いの体験の物語り の聴取のプロセス 
 すっきりなおしたい
  すっきりをいわなければなおるのに

→十分に聞き取ることにより
2)emplotting 共有
  患者の物語について物語の共有のプロセス    
     筋書きを造る 悪循環 といったところ

→ここでEBMの活用

 この人にはエビデンスはないであろう
 しかし
  口腔内灼熱症候群
   ある、有病率  0。7-15%、コモンデジーズ
   クリニカルエビデンスにのっていた

 使える
  対話に持ち込む
   ごらんの通り、この病気は決して珍しいモノでなく、ありふれた病気

3)abduction
  医師の物語りの進展プロセス 

患者側では、このエビデンスに対して、
  びっくり うれしい
  むつかしい、めずらしい、くるしいのはわたしだけという反応があり、
 口腔内灼熱症候群への介入オプション  共有できるナラティブを 共同戦線
  有益である
   認知行動療法 RCT  5割有効
  有益性不明
   HRT、ビタミンB等
 まだしられていないが、認知行動療法はしりませんが、エッセンスは知っています
心理療法 関係性が大切

 認知 思いこみを変える
    なおらないから絶望的である という思いこみ 認知療法

 痛くてもやっていけるとかえる 行動療法

※エビデンスの使い方で大切なこと
 ~それなりに引き受けることが大切  逃げ口上になってしまう

 症状をもちながらでも日常生活が送れるようにするということで進めてみましょう

   とりあえずどうしますか?

 痛みともなかよくしていきますか?
 そのとおり

いろいろいわれました (笑い)
 この笑いの時点で
4)negotiation and emergence of the new story
  物語のすりあわせと新しい物語りの浮上のプロセス

うつの症状もあった
口腔内借熱感症状はきかないが、うつのエビデンスあります。

うつへの先入観 = 医療側のナラティブ
 おもいこみあり
 エビデンスから虚心坦懐に入る必要ある

つまり、EBMは質の高いひとつのナラティブと考え、それを患者側と医療側とのすりあわせの場として利用するわけです。
 
その後も科の患者とも関係を進めていき同時にassesment
   ここまで医療のプロセスの評価が大切となります。  




ようやく、NBMがなんとなくわかったような気になってきました。

そういえば、似たようなことを現実に行っていました。

私の外来は、呼吸器の専門外来です。

多くの患者さんは、紹介されてやってきます。

例えば、咳が長引く患者さんが紹介されます。

そうした場合、経験上患者さんが何を望んで呼吸器の専門外来にきているかだいたいわかります。

大きく二つに分かれるんです。

ひとつは、何とか症状をとって欲しい人。

もうひとつは、原因を知りたい人。

両方の患者さんに対して同じアプローチをしても解決しません。

症状をとって欲しい患者さんには、検査で原因を突き止めることよりも症状をとるためにあれこれ薬を試したりする方が当然喜ばれます。

後者の患者さんには、あれこれ薬を試すことも大事なんですが、少しでも原因がわかるようにいろいろな検査を行った方が喜ばれます。

また、あれこれ調べても原因がわからないことや、あれこれ薬を使っても症状が取れないことがあります。

そうした場合は、なぜわからないのかを理論的に説明して大きな病気が隠れている心配のないことや症状がその程度ならあまり気にしなくても問題ないのではないかなどとその患者さんにあった対応をすることで納得してもらえることが多いのです。

きっと、NBMってそんなことなんじゃないかと思います。

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理解の仕方間違っていたら教えてくださいね。

ちなみにアポリアとは、一見解明できそうにない行き詰まりのことです。

詳細は、こちらへ


参考『NBM入門~NBMってなに?』

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
様々な心理反応に対するアプローチ
比較的、私のような医学の素人に取ってもわかりやすい形で専門的知識を伝えて下さってありがとうございます。比較的、というのは私の理解力が及ばないという解釈でお願いします。

病気というのは一つの大きなストレスだと思います。
何でこんなに咳が長く続くんだろう?という不安だったり
また咳をすると当然苦しいですから早く何とかしたい、という気持ちも働きます。

他の医療機関から紹介されて専門外来に来たという患者さんなら、今度こそ症状を何とかしたい、原因をはっきりさせて治したいという気持ちを持っているだろうとも思われます。

人間、その欲求(願い?)が受け入れられた(と感じられた)時、その医療者に対する信頼感が生まれるのかなと思います。

それは「この先生のところへ来たから治った(または原因が分かって良かった)」或いは「症状(または原因)は完全には取れないし(またはわからない)けれどそれなりにきちんと説明してくれて嬉しかった」…

などという形で、物語の完結を迎えることが理想であり目的であるのだと思います。

もちろん物語の完結の仕方は「一つ」で済まないことも多々かもしれませんが…。
2009/06/27(土) 10:06:06
URL | あずき #-[ 編集 ]
調子がよくなって受診しなくても大丈夫だと患者さん自身が思い、担当医ももう来なくても大丈夫だと考えたときに物語は完結するのでしょう。

ただ、現実は調子がよくなったとしても長期間フォローが必要だったり、調子がよくならずに悪い病気である場合だったり、様々です。

難しいですね。
2009/06/28(日) 16:58:42
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
行き詰まり、か。
そうですね。
最終的な折り合いは、妥協点だったりしますね。

医療に妥協はあるべきではないけど、完璧な方法もなかなかない。
となると、諦める一線はあるんでしょう。

例えば、「とりあえず理屈抜きに咳を止めたい」って人は、社会復帰したい・もしくは休めない人かな。
原因追求したい方は、ある程度余裕があって闘病できる感じで。
とりあえずタイプは、ちょっと良くなると薬をやめちゃう困ったサンだったりしますね。私もその系統で、テオロングとホクナリンが山ほど残っておりますf^_^;

原因を知り、薬の作用や用法を理解した人なら、キチンと使い続けるでしょう。
勝手にやめた患者のことまで、医師は責任持てませんよね。
……反省。

前回書いた歯科医じゃないですが、医師にはマニュアル以外の幾つかの選択肢を提供していただきたいとおもいます。
AかBの2択しかないより、C・Dがあったほうがいい。
だから患者も勉強しなきゃいけないし、セカンドオピニオンがあるんですよね。
ま、歯科医みたいな開業医はセカンドオピニオンを嫌いますが。

Cもあるが、それはリスクが高いとか。医療費がかかるとか。
面倒がらずにいろいろ教えてくれるとありがたいんです。

忙しいのでなかなか難しいでしょうが、「説明したからわかったはず」と思い込んで進めないで頂きたいなぁ。
たまにいるんですよね、説明下手な先生って。
しつこく聞くとイヤな顔されたり。

その辺のコミュニケーションがうまくいくと、理想の医療の第一歩かも知れません。


話は変わりますが。
マイケル亡くなりましたね。
マイケルが使ってたとされるデメロールも、疼痛緩和薬だそうですが。
これもガンの緩和に使うんですか?
麻薬に近いと聞いて、一因ならばやっぱり緩和も怖いなぁと思った次第です。

にしても。今年は清志郎といいマイケルといい三沢といい、私の青春が次々旅立って悲しいです。
人の命ってあっけないですね。
2009/06/29(月) 02:08:43
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>医療に妥協はあるべきではないけど、完璧な方法もなかなかない。

個人的には、医療に妥協しかないと思います。
スイッチのオンとオフのようにはいかずすべての人間は少しずつ異なります。

どこかで妥協しないと。。。

>となると、諦める一線はあるんでしょう。

いつも、何処であきらめるかを考えながら何処まで行うかを考えながら医療をしています。

>Cもあるが、それはリスクが高いとか。医療費がかかるとか。
そこまで望まれる方はまれであったり、メジャーでない選択を事細かに説明するとあまり理解せずにCを希望される場合もあります。
医療の場合は、患者さんの希望も大切ですが、病気をよくすることも大切です。
いろいろな要因が複合的に組み合わさっており医師の判断で治療を開始する場合もあります。
その部分が、お客様と患者さんの異なる部分であると考えています。

また、細かいことをどこまで説明するか?
これも、医師の判断で行われます。

かなり細かい話までほとんどの医療機関で医師が行う社会というのは、医者の仕事にゆとりがあり、時間制の医療費があれば可能だと思います。
女王様が理想とするような医療を実現するためには、政治に訴えかけて医療制度そのものを変革しなければ無理だと思います。

個人的には、女王様の考えには十分同意しているのですけど。

デメロールの件ですが、
おそらくですけど、通常の使い方ではなかったのでしょう。

緩和が怖いとは思わないでください。
通常の使い方をしているならばまずこのようなことは起こらなかったと思います。

日本ではあまり使いませんが、欧米では普通の鎮痛薬として麻薬は処方されます。

緩和医療だけが麻薬の出番ではありませんので。
2009/06/29(月) 13:21:28
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
>緩和医療だけが麻薬の出番ではありませんので。

ふぅ~ん、、麻薬と言えば緩和医療。と、刷り込まれた感のある私としては、新鮮な響きです。
“麻薬”の使い方のバリエーション、もっと紹介して下さいe-284
2009/06/30(火) 23:57:13
URL | christmas #-[ 編集 ]
>“麻薬”の使い方のバリエーション、もっと紹介して下さい

普通の痛み止め(解熱鎮痛薬)で抑えられない痛みは麻薬系の痛み止めの出番だと思っています。

現在の日本でがん性疼痛以外に使うことは難しい状況ですが欧米ではがんの痛み以外でもよく使われています。
2009/07/01(水) 12:16:38
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
はじめまして。
よっしぃ先生、はじめまして。

つい先日、日野原重明氏の著書を読んでいて
【EBM NBM】という言葉が出てきてネットで調べていたところ、よっしぃ先生のところに迷い込んでしまいました。

1・2・3と読ませていただき、自分なりになんとなくですが、理解したと思っています。

私としましては、NBMをもっと重きに考えていただけるようになればカタログ的な診察・診療に出会うことも少なくなり、ひとりの人間として互いに関わっていけるのではないかと思いました。

ずれた発言なら申し訳ありません。

またおじゃましてもよろしいですか?
2009/08/18(火) 00:18:05
URL | りく #kUr9nKys[ 編集 ]
>りくさん
はじめまして。
NBMを考えていきたいのはやまやまですが、そうすることによりどうしても時間が凄くかかってくるんですよね。
正直、ゆっくり時間をかけてのマンパワーは厳しいです。
そうあるべきだと思うんですけどね。

また、遊びに来てくださいね。
2009/08/18(火) 12:40:03
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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