~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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適応外使用の問題 
2009/09/04 Fri 13:32
以前、『ドラッグラグ~薬がない! 』要するに外国で普通に使われている薬が日本でなかなか認可されない。

というような話をしました。

最近、 「適応外治療を受けたいという願いはわがままなのでしょうか」

というメールマガジンを見つけました。

もちろん、外国で使えるのに自分や身内が使えないということは、つらいことです。

>適応外治療を受けたいという願いはわがままなのでしょうか
>「なんとか、ジェムザールを投与して貰えないか。」
>麻子さんの思いは強かったのですが、神奈川県立がんセンターの担当医は「適応外治療を
絶対にしない」と告げたといいます。
>神奈川県立がんセンターは「腎臓がん患者に対して混合診療していた」ということでマスメディアに取り上げられたことなど背景があったのかもしれません。
>医師の療担規則についても麻子さんは知っていましたが、担当の医師からは適応外治療をしないことに対して、何も納得のいく説明がなかったといいます。

適応外使用といって国内で他の治療として認可されている薬を使うことは可能です。

もちろん、ただ使うのは簡単ですが、混合診療の問題がまずあります。

適応外ですので、基本自費となり、健康保険がききません。

混合診療は禁止ですのですべての治療が自費となります。

多くの方々の医療費は3割負担ですので、10割負担と言うことは、払う金額が3倍強になるわけです。

もう一つの問題は、効果があった場合はいいのですが、効果がない、また副作用が強く出てしまった場合どうなるのかが不確かなわけです。

もちろん、患者さんに対してはよりよくなるために出来ることを行うわけですが。

医師の落ち度となるのかどうかがわかりません。

当然ながら国としては認可してない治療をしたわけですから知らんぷりをするでしょう。

多くの病院には、倫理委員会があり適応外の治療などを行うときは倫理委員会などで検討する場合がほとんどでしょう。

そのあたりを考慮すると病院としては、適応外の抗がん剤を使ってはいけないとなってくるわけです。

ですので、個人経営レベルの病院でしか適応外治療を行わないことが多いのです。

>適応外使用を考えるとき、効果よりも危険が高い治療や不利益な治療が行われるのではないかという不安も確かにあります。
>医師にはプロ意識を持ち、「国ではなく医師」が医師を監視する「自浄作用」をもって正しい治療を提供していく取り組みが必要なのではないかと思います。
>また患者も藁をもすがる思いだからこそ、患者力をつけ正しい治療にアクセスする必要があると感じています。
>いのちと向き合う患者が担当医としっかり話し合い、薬のリスクとベネフィットを理解し、それでも治療を望んだ時に、どうして国が「混合診療」だと口を出してくるのでしょう。

おっしゃることはもっともだと思います。

私もこの意見には同意します。

ただ、大きな問題があるのです。

スピード承認されたイレッサの件でもあるように予期せぬ副作用が多く出た場合、特に、副作用により命が奪われた場合、マスコミなどが批判するわけです。

もう少し、安全性を担保してから承認すれば良かったと。

それどころかイレッサの承認を取り消せなどと言う声も大きかったのです。

実際に使ったことのある医師はイレッサを取り消すことはあってはいけないと思っていました。

効果のある人には今まで経験したことの亡いほど効くからです。

そんな痛い経験をしているから政府として、慎重になるのです。

今の新型インフルエンザワクチンも似たような状況でしょうね。

リスクとベネフィットを天秤にかけて考えられる方はいいのですが、なかなかそのバランスを考えられない方に理解してもらうのは難しいのです。

ですので、報道に関わる方々もそのときそのときの被害者の側に立つ行き当たりばったりの報道ではなく、一本筋の通った報道をして欲しいものです。

さらに一般の方にも医療がわかるように医療をどうしていけばいいのかを理解してもらえるような報道をお願いしたいと思います。

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skyteam先生のところにあったネタです。

http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/1199817/

「任意接種とはいえ,すべて個人に判断を任せて知らないというわけではない。国内外のエビデンスを吟味したうえで,最終的にどのグループにワクチンを接種するかを決定する」と発言。国民への周知の重要性と難しさに言及するとともに,「ワクチンの有効性は国際社会の常識となっている。しかし,日本は仮にワクチンの効果が100,副作用が1として,1の副作用によって100の効果を忘れてしまうという歴史があった。これが日本のワクチンプログラムが衰退した原因ともなっている」と副反応への過剰反応も戒めている。


これが日本の現状なんですよね。

そう言えば、抗がん剤の吐き気予防の薬も世界標準の薬はまだ未認可ですしね。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
イレッサ関連報道
本当に、ひどいとしかいいようがなかったですね。でも、あのときは私も、テレビの報道をまともに信じていました。

あとで、事実を知って愕然でした。それと同時に報道機関の「いい加減さ」も知りました。
2009/09/04(金) 19:22:28
URL | あずき #-[ 編集 ]
治療やワクチン接種に関し、日本人は「リスク」を取ったのだ、という感覚が薄い。
それでマスコミが、うまくいかなかったこと、失敗などを批判すると、多くの者が乗ってしまう。確率論より感情論の方に重きを置く。その方が、難しいことを考えずに済むし、他人のせいにするのは楽だからだ。

「医療問題」は会社の主たるテーマにはならい。話がむずかしいからだ。これをTV報道中、または新聞で文章化するのは、大きなキャパが必要になる。時間や書面をさいても、さして反響は湧き起こらない。やはり内容が難しいからである。

一般受けするためには、どこをデフォルメするか? 視聴者・読者の感情に訴えるのが一番の方法ではないか。

小さ規模報道機関では、記者単独で取材するような位置づけであり、彼らが特に医学に知識を持たず、基礎知識もないことを知り、私は愕然とした。
2009/09/05(土) 01:03:38
URL | christmas #-[ 編集 ]
イレッサ
そういえば、初めて故父の医師に説明を聞いた時、「イレッサは使えないんですか」と質問しました。
お父様の扁平上皮ガンにはハイリスクなので使えません、とのこと。
保険適応でも、そう言われたら諦めざるを得ませんね。

が、なまじ何の知識もなかった父は「飲み薬があるのか!」「それなら入院しなくていいじゃないか。ハイリスクでもそっちがいい」とゴネだして、それはそれで厄介でしたが。

ゴネても通用しないので、結局はナントカプラチンとドセタキセルでスタートして、効果がなければTS1にするとかって説明でした。
今となれば、あまり意味がない治療だったような…。
開始が昨年4月で、この正月に亡くなってるんですからねぇ。
無論、途中からでも入院して徹底的に叩いてれば違ったかも知れませんけど。

病院によっては、適応外でもどうにかしてくれる所もあるようですね。
叔母は、某私大病院で「お金ならいくらでも出せるから、効果のある薬にして」と頼んだところ、融通してくれたそうでした(肝癌)。
適応範囲内の2種はあまり効果がなかったのですが、無認可のナントカっていうのが効いたらしく、もう6年生きております。

なんというか、医療もカネ次第・運次第のギャンブルのように思えてきました。
一か八かも、カネがなきゃ出来ないんですから…。

人それぞれに、体も人生も考え方も千差万別です。
安易な報道に流されないよう、自分の体(病気)のことは勉強しなきゃいけませんね。
学ぶ媒体なんていくらでもあるのだから。
病気と向き合い、その病気や治療法について知ることは、とても大事だと思います。

どうせマスコミなんて、国家や自治体・病院などの組織側を悪に仕立てるだけですよ。
いかにも一般人の味方であるような素振りをしているだけ。面白おかしく。
そんな偏重報道に翻弄されない為にも、患者も学習し見極める力を養わなうべきですね。
2009/09/06(日) 04:32:24
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>あずきさん
イレッサの報道は、ひどかったですね。
今は、新規抗がん剤は全例調査もしくは、施設限定でしか使えないようになっております。

>christmasさん
全く、おっしゃるとおりです。

>小さ規模報道機関では、記者単独で取材するような位置づけであり、彼らが特に医学に知識を持たず、基礎知識もないことを知り、私は愕然とした。

大きな報道機関でも医学的な知識なしに書いていることがほとんどですよ。

>女王様
イレッサについて詳しくはこちらを
http://tugagu.blog34.fc2.com/blog-entry-14.html

>今となれば、あまり意味がない治療だったような…。
>開始が昨年4月で、この正月に亡くなってるんですからねぇ。
>無論、途中からでも入院して徹底的に叩いてれば違ったかも知れませんけど。

肺がんの抗がん剤治療のみの生存期間中央値が8ヶ月から12ヶ月程度です。
無治療なら6ヶ月から8ヶ月です。

意味があったかどうかはわからないですね。お父様が治療しなかったらどうなったか、濃厚な治療をしていたらどうなったかは誰にもわからないわけですから。

>徹底的に叩いてれば違ったかも知れませんけど。
もう少し長生きできたかも知れませんし、逆に副作用で命を縮めていたかも知れませんよ。

>病院によっては、適応外でもどうにかしてくれる所もあるようですね。
混合診療の問題を無視しているので公になると非常にまずいことをしていると思います。

>適応範囲内の2種はあまり効果がなかったのですが、無認可のナントカっていうのが効いたらしく、もう6年生きております。

ちなみに肝がんの予後は肺がんと比べると非常によいですよ。
出てきたがんを焼いたりするだけでも6年は十分あり得ると思います。

>医療もカネ次第・運次第のギャンブルのように思えてきました。
選択肢は広がりますが、有効な選択肢が増える場合は限られていると思います。
多くの場合、ほぼ無効かつお金のかかる選択肢が増えるだけではないでしょうか。

>人それぞれに、体も人生も考え方も千差万別です。
安易な報道に流されないよう、自分の体(病気)のことは勉強しなきゃいけませんね。

これは、ぜひそうして欲しいですね。
2009/09/06(日) 09:30:17
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
丁寧にありがとうございます
まぁ、もう終わってしまったことですからね。
悔やんでも考えても仕方ないんですが。

なぜ、女性の非喫煙者に効果があって、男性喫煙者に危険なのか不思議でした。
タルセバとかも使えなかったのかな?とか。

まだまだ、謎だらけだし難しいですねー抗がん剤って。

あと。
「生存期間中央値」って何でしょう?
平均的な残り余命とは違うんでしょうか??
スミマセン、無知で恥ずかしいです(^^;)
2009/09/07(月) 05:21:38
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>タルセバとかも使えなかったのかな?とか。
イレッサもタルセバもほとんど同じクスリですので。

>生存期間中央値
その試験に参加した患者さんの半数がなくなられた期間のことです。
わかりやすくいうと、99人の患者さんのうち、50番目に亡くなった方が試験が始まってから生存した期間のことです。

平均的な残り余命と値は近いことが多いです。
2009/09/07(月) 12:54:05
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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