~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2009/09/13 Sun 07:32
それから、2ヶ月後肺の腫瘍は大きくなり始めました。

『Fさん、また一回入院でもして調べない?』

『入院は、イヤなの知っているでしょう。』

正直、治療後2ヶ月で大きくなった場合同じ薬剤では効果がないことが多いのです。

別の薬なら効果があるかも知れませんが。。。

『でも、またトポテカンという薬も使えるし』

『先生がよいと思っていろいろすすめてくれるのはわかる。

でも、私、入院するの嫌いやし、残された時間が短いのも知ってる。

抗がん剤したら少し楽になったけど治るわけではないのも知っている。

いくらしんどくないと言っても少しはしんどいし。

私の希望は入院しないで出来るだけ長く家で過ごしたいんです。』

その後、治療した方が長い時間生きれる可能性が高いと何度も何度も説明しました。

でも、Fさんの気持ちは変わりませんでした。

その後、外来に来るたび

『治療する気になったらいつでも言ってね。』というのですが。。。

『遠慮します。』

この繰り返しとなりました。

何度も抗がん剤を勧めましたが、意志は固かったようで「うん」とは言いませんでした。

もちろん、家族の方もこのやりとりを知っていてFさんの気持ちを尊重するとのことでした。

だんだんと通院がしんどくなってきました。

しんどくなってきても入院はしたくないようです。

Fさんの気持ちを尊重するために往診の先生にも来てもらうこととなりました。

それから程なくFさんは、衰えだんだんと食事ものどを通らなくなってきたそうです。

そんなある日、往診の先生からFさんがお亡くなりになったと連絡がありました。

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Fさんにとって、これで良かったという気持ちがある一方、もう少し治療をすすめていた方がよかったのかなぁと思う気持ちもあります。

確信できることは、Fさんが強い意志を持って3回目以降の治療を拒否したこと、また家族もその決断を受け入れていたことです。

それで、Fさんの意志を私を含め尊重することができたのです。

最期まで家で過ごすことができて満足だったと思っています。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
Fさんの家族も
なかなかすごい決断をしたなぁと思います。「抗ガン剤治療をしない」選択をしていたら、義母ももう少し長く家にいられたのかもしれない・・と思う反面、家で苦しむ姿をきちんと受け入れられたか自信は持てません。
2009/09/13(日) 09:11:31
URL | ダイヤモンドダスト★ #-[ 編集 ]
患者さん本位の医療
誤解を招くかもしれませんが、患者さんが望む医療ができたのかもしれませんね。

医療者としては、もう少ししてあげたいことがあった、という感覚が残ったかもしれませんが、このケースはこれで良かったのだと思います。

患者本位と言いながら、治療者としては、できる限りの治療がしたいという思いが確かにあります。時としてそこが混同して、治療者の思いが患者さんの望みであるような錯覚に陥ることがありますが、患者さんが自分の意思表示を明確にしたことで、それが実現したのでしょう。ご家族が本人の意思を尊重していたのも大きいと思います。
2009/09/13(日) 19:12:05
URL | あずき #-[ 編集 ]
>ダイヤモンドダストさん
Fさんの家族もかなり悩んだと思います。
でも、何が正解かわからないのでね。

>あずきさん
>患者本位と言いながら、、、
そうなんですけどね。
医療知識については圧倒的に医師が多いんです。

患者さんの理解がどのあ程度なのかを見極めないといけませんから。

意志を尊重することは大切ですがみ無理解があるならば、説明や説得も大切なことなんです。
2009/09/14(月) 00:55:17
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
そうですね…
何事にも、正解はないのかもしれませんが…

私の印象では、Fさんは、どの程度までの理解をされていたかは未知数ですが、かなり強い意思でもって、治療を拒否されていました。ですから、この強い意志が『どこから来ているのか』が、推測しかできないので正確な評価は難しいところです。

ただ想像するに、副作用があまりに強かったから、精神的にめげてしまったかもしれないし、
完治しないなら、治療なんて意味がないと、そういう理解が根底にあったかもしれない。

精神的なものなら、そういう方向のアプローチから入れば、もう少し、医療者側の説明を受け入れたかもしれないし、
逆に、頑なに治療に意味がないと強く思っていたら、そうした心の隙間に入り込むのには、特別な配慮が必要な方だったかもしれません。

最後の方は、ご家族も無理をされたんじゃないかと感じる節もなきにしもあらずです。

2009/09/14(月) 09:49:15
URL | あずき #-[ 編集 ]
わかりますねー
私は「死」に直面したことがないですが
患者経験が多い身として、なんとなく
気持ちがわかります。
「正解」ではないかもしれませんが。

臆病なわたしは、自分でゴールを決めたく
ないんですよね。
つまり「ここで入院するってことはもう自宅
に帰れない」ってことだから、「もう自宅と
お別れできる!」という気持ちになれないと
病院には行けないと思います。

「もしかしたら明日もこの自宅で生活でき
るかもしれない・・・」という不明確な希望を
抱きつつ毎日目を閉じたいって思います。

私事ですが「足を切断かもしれない」という
診断を受けそうになったときは病院の入口
で1時間立ち止まって中に入れませんで
した。それと似た恐怖でしょうかね。

また参ります\(◎o◎)/!
2009/09/14(月) 15:47:37
URL | INOMATA #-[ 編集 ]
やっぱり…。
そうなりましたか。
お気の毒に。

我が父とよく似てるケースですが、キチンとご家族にも意思表示をし、同意を得てるのは立派です。
うちの場合は、通院してるふりして(行ってはいたけど)薬だけもらった帰ってたり、実は飲まないで手付かずのまま引き出しから出てきたりだったので、家族は大憤慨になったのだと思います。
受け入れられるか否かはともかく、とりあえず意思だけは伝えてほしかった。
多分、反対したでしょうけど。

気持ちは理解できても、実際問題、家庭で面倒をみることはとても大変です。
本人も家族も、思うようにならずストレスがたまりますし、意外と今の開業医は往診してくれません。
テナントなので、夜や休日はいらっしゃらないし。
どういう介護をするか・緊急時の対応はどこに頼むか。
全て段取りが出来た上でないと、自宅で世話をするのは簡単ではありません。

そして。
そういう最後を望む人々が少なくないことや周囲の家族のこと、長期療養病床がなくなったこと、残念ながら経済的に入院治療が難しい方々がいることを、行政としてもいろいろ考えて頂きたいものですね。

お医者様も。
治療を続けるメリットデメリット、自宅で出来ることの限界等々、なるべくたくさんの見解を提供してほしいです。
互いにごり押しにならないよう、納得ずくで決めるのが本来のインフォームドコンセントではないかと思うのです。

全くもって、難しいですね終末期医療は。
脳卒中や心筋梗塞みたいな「突然死」も、それはそれで死を受け入れるのに時間がかかるでしょうし。
やっぱり入院してて「あと数日でしょう」と言われたほうが、家族は覚悟しやすいんですけどね。
自分が患者ならどうしたいかと、家族としてどうしたいかは一致しないし。
永久に答えが出ない問題でしょう。
2009/09/14(月) 18:17:03
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>あずきさん
そう、正解はないんです。
だから、みんな考え、悩むんです。
患者さん自身も、家族も、そして、医療者も。
ナースだって、医者だって関わる人は、みな、悩みます。

他の方がどう対応したか知ることはとても大切な事だと思います。

だから、いろいろ考えてください。

>INOMATAさん
患者さんのいろんな気持ちがわかるようになれば実際の臨床現場にも生かせると思っています。

どこの部分でどんな風に恐いと感じるかというのは正直難しいです。

また、教えてくださいね。勉強になりました。

>女王様
そうなんです。
実際、家族が面倒を見るのは大変なことなんです。

>今の開業医は往診してくれません。
私の知ってる範囲では、多くは往診医すぐに見つかりますよ。

地方格差なのでしょうか?

>治療を続けるメリット、デメリット、自宅でできることの限界、、、、インフォームドコンセント出はないかと思うのです。
その通りだと思います。

そうできるように日々努力しています。
ただ、そうすることは患者さんがあまり聞きたくないようなことも言わなければいけない場合が出てきます。

>終末期医療
終末期医療はまだ、時間があるので何とかなることも多いです。

突然死ほど時間がなさ過ぎて何ともならないように感じています。

2009/09/14(月) 21:19:13
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
ドクターと患者
ここでのコメントは場違いかもしれませんが、

「ことば、時間、空気」  の必要性を改めて認識しました。

最近の医療現場では 電子カルテが導入され、医師が患者の顔を見て話さなくなったと聞いています。
また、触診をせずに、レントゲンや、検査結果のみで診断を下す医師も増えてきたと聞きます。

医師も患者も人間なのだから、ある程度の感情を持って話し合える関係が構築できれば、医療訴訟も減るのではないでしょうか・・・
2009/09/15(火) 14:02:25
URL | のんちゃんさん #-[ 編集 ]
>また、触診をせずに、レントゲンや、検査結果のみで診断を下す医師も増えてきたと聞きます。
一部事実です。
だって、そのほうが理学的なものより優れているのですから。
肺がんの診断だって細胞診もしくは組織診がなければ治療しません。
肺がんは自覚症状がなくて見つかることが多いので画像診断が大切です。
もちろん、コミュニケーションをとるために大切なことだとは思いますが。
今後、そのあたりがどうなっていくのか、また、どうすればいいのか興味があります。
2009/09/15(火) 21:01:25
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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