~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2009/12/01 Tue 12:29
CATEGORY【診療】
以前から、紹介しないといけないと思いつつ今まで紹介できなかったものがあります。

とうとう、書籍化されましたので遅ればせながら紹介させていただきます。

それは、『妊娠の心得11か条』です。

LUPO


『産科女医からの大切なお願い』←楽天に飛びます


もう、ご存じの方も多いと思いますけど。

転載自由ですので堂々と転載します。

1.セックスをしたら妊娠します。

この世に100パーセント避妊する方法は、セックスをしない以外にありません。(ピルですら100%ではありません。でも、もちろん避妊することは望まぬ妊娠を大幅に減らすことが出来るので、妊娠したくない人は必ず避妊しましょう!!)
日頃セックスをしているなら、常に妊娠の可能性を考えましょう。
そして、子供が欲しいと思っているなら、赤ちゃんの神経系の病気(二分脊椎など)を防ぐために葉酸のサプリメントを飲みましょう。(1日0.4mg)
2.「この男の子供を産むためなら死んでもいい!」と思うような男の子供しか妊娠してはいけません。

妊娠出産は何が起こるかわかりません。妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、妊娠糖尿病など、妊娠にまつわる病気になるかもしれません。また、お産も体にとっては大きな負担となります。
毎年、約60人の妊婦が出産で死亡しています。あなたが生きて出産を終える保証はどこにもありません。
妊娠をするにはそれなりの覚悟が必要ですよ!
(妊娠はよく考えて、覚悟を持って!、というたとえでシングルマザーなどの選択を否定するものではありません。)
3.妊娠しただけでは喜ばない。安易に他人に言わない。

妊娠が非常に初期に診断されるようになってから、妊娠初期の流産が15%以上と非常に多いことがわかりました。
最低でも妊娠4ヶ月に入るまでは手放しで喜んではいけません。職場で仕事を軽くしてもらいたいと上司にお願いするなど重要な時だけ人に言いましょう。
出来ることは赤ちゃんを信じてあげることだけ。
また、運悪く15%に入っても、あなたのせいじゃありません。不必要に自分を責めないでくださいね。

4.神様から授かったら、それがどんな赤ちゃんでも、あなたの赤ちゃんです。

この世に完全に正常な人間なんていません。重いものから軽いものまでいろんな障害を持って生まれてくる赤ちゃんもたくさんいます。
妊娠中に診断できる異常はごく一部。中には幼児になってからわかる異常もあります。
誰しも自分の赤ちゃんが正常だという保証のもと、出産することなんて出来ません。
親になるということは、どんな赤ちゃんが生まれても自分の子供として受け入れることです。

5.産む、産まないは自分たち夫婦で決めましょう。

とはいえ、妊娠中に赤ちゃんの異常や、もしかしたら異常があるかもしれないというサインがあると主治医に告げられるかもしれません。
それが中期(妊娠21週まで)であれば、望んだ妊娠であっても異常の程度によっては中絶という選択肢が出て来る場合もありますが、あくまでも夫婦二人でよく話し合って決めましょう。価値観や考え方は人それぞれ。大事なことは責任を持って自分たちで決めましょう。(大事なことを責任を持って決められる大人になってから妊娠しましょう。)
また、このことについては妊娠前から二人で話し合っておくべきです。
6.かかりつけ医をもちましょう。

当然ですが、ちゃんと妊婦健診を受けましょう。
きちんと初期に超音波で予定日を決めること、HIV、B型肝炎、血液型、梅毒などの初期検査を受けることは、妊娠中に管理方針を決めるのに後々重要であったり、あなたの赤ちゃんを守ったりするために必要です。また妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の早期発見には欠かせません。
もしあなたにお金がなくても、自治体が発行する母子手帳には最低限の妊婦健診を受けるためのチケットがついていますし、分娩費用も援助してくれる制度があります。
また、産科医不足からお産を出来る場所が限られています。妊娠が分かったら、病院などに早めに問い合わせてお産をする場所を確保しましょう。里帰りしようなどと思っていても、受け入れてくれる場所がないかもしれません。

7.赤ちゃんは全ての運命をあなたに預けていることを忘れないで。

赤ちゃんは栄養や酸素など、生きて成長するために必要なものを全てあなたに依存しています。お母さんが煙草やお酒など赤ちゃんにとって毒となるものを摂取すると、胎盤を通して赤ちゃんに移行します。 
体型を気にして、妊娠中にダイエットをするなどはもってのほか。(妊娠前に標準的な体重だった人は9~12キロ体重を増やさなくてはいけません。)
煙草が我慢できないような人は、お母さんになる資格はありません。
また、「出産したら遊べなくなるから」と旅行をするのもいいですが、何かあっても後悔しない程度に。旅先で何かあってもすぐに診てくれるところがあるかは最低確認を。
おなかの赤ちゃんのために時には自己犠牲を払うことも覚悟の上妊娠しましょう。


8.赤ちゃんが完全に元気であるか分かる方法はありません。

胎児心拍のモニターや超音波など、赤ちゃんが元気であるか評価する検査はありますが、どれも完全ではありません。
予定日を目前にお腹の中で突然死をしてしまう赤ちゃんもいます。もし動きが少ないと思ったら病院へ。
無事に産まれるまでお母さんも赤ちゃんも安心できないのが妊娠なのです。毎年5000人以上の赤ちゃんがお産の間際や生まれてすぐに死亡しています。
また、脳性麻痺になる赤ちゃんがいますが、その90%は分娩前にすでに原因があり、分娩を機に脳性麻痺になる赤ちゃんはわずか10%であることも知っておきましょう。


9.出産は出来うる限り安全な場所でしましょう。

妊娠経過にどれだけ異常がなくとも、出産の時に赤ちゃんやお母さんが急変することは誰にでもありえます。
専門家が考える安全な場所とは、緊急時に、高次の医療機関(産科医と新生児医と麻酔医が揃っていて、帝王切開や未熟児医療ができる体制)か、そこへすぐ搬送できるくらいの近さの産院です。
部屋がきれいだから、ご飯がおいしいから、好きな姿勢で産めるから、上の子を立ち会わせたいから・・
そんな理由で緊急時の安全性が劣る産院を選ぶのはおすすめしません。
もちろん、納得の上でなら構いませんけれども。
お産をなめてはいけませんよ。
(残念ながら現在産科医不足のため、妊婦さん全員が安全性の高い病院を選ぶとパンクしてしまいます。だから、リスクの低い妊婦さんには高次の医療機関ではなく開業の産婦人科を選んでもらわないといけない場合も多いです。でも、最低でも産婦人科医立会いの下お産しましょう。)


10.下から産んでも、お腹から産んでも、あなたはお母さん。

人によっては骨盤位(逆子)などの理由ではじめから帝王切開をしないといけない人もいます。また、陣痛が来て頑張っても、下から産まれなくて帝王切開をしないといけない人もいます。
どんな出産になっても、あなたが身を削って赤ちゃんを産んだことには変わりありません。
帝王切開で産むと子供の性格が悪くなるとか、親子の愛情が無くなるとかいう悪意に満ちた色々な妄説に惑わされないで。
あなたと赤ちゃんにとって一番安全な方法でお産をしましょう。


11.妊娠・出産は一つとして同じものはありません。

妊娠・出産を経験すると、自分が何でも知ってる気になってしまう人がいます。年配のご婦人で「私のときはこうだったわよ」のように先輩面をする人もよくいますよね・・
でも、一つとして同じ妊娠・出産はありません。
同じ人が次にまた妊娠しても、同じようになるとは限りません。
自分の経験を別の人や別の妊娠にあてはめないようにしましょう。




また、作者からのお知らせもありますので紹介します。




産婦人科医のLUPOこと宋美玄と申します。
「産科女医からの大切なお願い~妊娠・出産の心得11カ条~」という題名で、無双舎より発売されました。

昨年11月に、私のブログである「Yahoo!ブログ LUPOのぶらぶら地球紀行」に、「妊娠の心得11カ条」を作って載せたところ思わぬ反響があり、インターネットのニュースや雑誌に取り上げられ、無双舎より書籍化のお話をいただいたという次第です。
拙ブログに載せた「妊娠の心得11カ条」とは以下のようなもので、産婦人科医ならばだれも当たり前と思うような内容です。これに長すぎぬよう解説を加えていました。

『妊娠の心得11か条』

この心得を作ったきっかけは昨年秋、脳出血を起こした妊婦さんが、受け入れ先がなかなか決まらず、結果的に命が助からなかったという報道を見たことでした。私たち産婦人科医からみると妊娠中の脳出血はそれだけで非常に予後の悪いものですが、私には報道が「受け入れ先がすぐに見つかりさえすれば命が助かった」と視聴者を誤解させてしまうもののように感じられました。そのため、妊娠出産は本来リスクを伴うものだということを理解してもらいたいと思い、この心得を作りました。

現在日本では産科医の不足が社会的問題となっています。これにはいろいろな原因がありますが、その一つに、「妊娠出産は安全で当たり前。何かあったらミスではないか。」という非医療者の認識が、現場の医療者のやりがいを失わせ、ストレスとなっていると日々の診療で感じていました。また、妊婦さんに専門知識がないばかりに的外れなことで悩んでいるとも感じていました。そのため、正しい知識の啓蒙が医療者にとっても非医療者にとっても必要だと思い、作成しました。そして、周産期を専門とするベテラン医師たちから非医療者の方々まで幅広く共感を得ることが出来ました。
(21世紀医療フォーラムで取り上げていただきました→http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gdn/report/200905/510824.html

ブログ版の心得は医療者である私からの心得を一方的に述べたものでした。その後私は日本の臨床を一時離れ、ロンドンに胎児超音波と胎児治療の勉強のために留学したため少し客観的に見ることができました。また、身近な人の妊娠・出産・子育て、さまざまな立場の人の意見やこちらのメンバーの方々からいただいた体験談(ほとんどそのまま載せさせていただいたものもあります)に触れることで、より非医療者側に立った視点で見つめなおすことが出来たと思います。より非医療者の方々の共感を得られやすい内容で、非医療者と医療者の架け橋の助けとなるようなものが書けたと自負しています。ブログ版に共感してくれた方も、ちょっとどうなのと思った方も、知らなかった方も、是非ご一読ください。

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テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
このお話が聞けて本当に良かったです。
妊娠 出産は簡単なことじゃないですね。
皆がみんな無事に妊娠生活を終え 無事に出産し 母子共に健康で退院できる そう簡単に思ってる人って沢山いると私も思います。(私も簡単に思ってた一人ですが)妊娠し切迫流産になんどもなりかけ 落ち着いたと思ったら高血圧と蛋白尿にむくみ 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)で入院 逆子..戻りました。そして陣痛が始まり分娩へ 私は軽いほうだったんですが お隣に居た方は双子で二人目の腕がひっかかりなかなかうまく出てこれず危険な状態 長時間の陣痛もあり失神し 急遽帝王切開 そんな方もいます。赤ちゃんが無事出てくるまで何が起こるかわかりません。無事に生まれても問題がありNICU GCUに入院ないといけない赤ちゃんもいます。子供が欲しくないなら避妊し 妊婦で赤ちゃんを大切に思うなら必ず検診に行って下さい。あなただけの体ではないんですよ!!っと私は言いたいです。
2009/12/01(火) 15:47:28
URL | 博美 #-[ 編集 ]
本当に・・・
妊娠・出産の大切さは私もよく分かります。

娘には同じ女性の立場で真剣に話していますが、こうして同性の産婦人科医のアドバイスがあれば、「母親の小言ではない」ことが分かってもらえるでしょう。

娘はまだ学生ですが、この本を渡そうと思っています。

2009/12/01(火) 17:27:28
URL | ダイヤモンドダスト★ #-[ 編集 ]
ご紹介ありがとうございます!
ブログ版よりも非医療者寄りの視点で書いたつもりです。多くの方によんでいただければと思います。
2009/12/01(火) 18:27:38
URL | LUPO #-[ 編集 ]
当たり前の事ですね
常識というか、いたって普通のことばかりなはずですが。
それを敢えて書かないといけないなんて、情けないですねぇ。

というか。
これは男性諸子にも読んで欲しい。
赤ん坊は女性だけじゃ出来ませんからね。
その行為が『繁殖行為』だということを認識してくれなきゃ困ります。
性行為をして、果たして相手の女性と芽生えるかも知れない命に責任が取れるのか。

言い方は悪いけど、人間だけですよね?快楽や遊びで安易に行うのは。
大抵の動物は繁殖期があるし、本能の中に刻まれた「種の保存」だったりします。
365日盛りがついてたり、遊びや犯罪で行うのは人間だけ。
ある意味、一番愚かな生物かも知れません。

「デキちゃった」 なんて安易に言っちゃうのも問題でしょう。
すごく生命を軽視してます。
心から喜んで迎え入れてあげられない命なら、作ることも産むこともすべきではありません。

これは、産婦人科医としてとても真っ当な11項目ですが。
「赤ちゃんポスト」も「代理母」もまた、産婦人科医なんですよねぇ。
気持ちはわからなくはないけど、代理出産なんて医師がしていいのかと。
ポストも、モラルの欠片もない女性の身勝手さを助長するだけに思えます。
捨てるよりマシって、まるでオモチャ扱いじゃないですか。
どちらの医師も何かが間違ってるような気がしてなりません。

私自身、持病があったりいろいろ投薬してたりで「作らない道」を選んだんですが。
どうも世の中の「出産をして一人前」とか「デキないのはおかしい」的な偏見も良くない。
妊娠も出産も決して簡単じゃないと、もっと老若男女に理解して欲しいですね。
2009/12/01(火) 23:19:56
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>博美さん
妊娠、出産にリスクを伴うのは当たり前のことです。
いつの間にか、安全と考えるようになってきています。

見直すきっかけになればと思います。

>ダイヤモンドダストさん
一人でも多くの人に本を読んでもらいたいですね。
本読まなくてもこの11箇条を知ってもらいたいですね。

>LUPO先生
これからもさらなるご活躍を!

>女王様
>これは男性諸子にも読んで欲しい。
そうですね。

>「赤ちゃんポスト」も「代理母」もまた、産婦人科医なんですよねぇ。
それぞれの意見があり、立場がありますからね。
倫理的な問題もあり、難しいところですね。
2009/12/02(水) 12:52:32
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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