~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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TMN分類 
2009/12/12 Sat 14:46
久しぶりにがんの話題です。

多くのがん種にTMN分類が用いられています。

がん診療で大切なことは、診断です。

診断にもいろいろありまして、まずがんかそうでないかを判断しないといけません。

がんと判断できたら確定診断がついたといいます。

肺がんをはじめ多くのがん種では、組織や細胞をとってきて染色をして顕微鏡でみて悪性細胞であればがんと診断されます。

確定診断がついてもすぐに治療にはいるわけではありません。

どこにあるのかや、どこまで広がっているのか、遠隔転移はあるのかなどを考慮しなければ最適な治療方針はたちません。

ある程度経験を積んだ医者なら、同じ状態の患者さんなら同じような治療方針をたてたれる必要があります。

その為にTMN分類があります。

その分類に従うことによって、日本のどこでも同じような治療が可能になるのです。

Tは、腫瘍(原発巣)のひろがり

Nは、リンパ節へのひろがり

Mは、遠隔転移

を表してそれらを組み合わせることによって病期分類がなされます。

1期の肺がんとか3期とか4期とかに分類されるわけです。

肺がんなら2期までが手術、3期は抗がん剤と放射線を組み合わせた治療、4期は抗がん剤治療が標準的な治療です。

もちろん、分類が微妙なケースや施設によって若干の方針が異なる場合もありますが、多くの場合は同じです。

その分類が来年からかわります。

詳しくは『肺癌取り扱い規約』なるものがありそれに詳細が書いてあります。

ちなみに第6版は200頁を超える厚さです。

来年からは第7版ということになります。

どう変わるかというと大きさでの分類が細かくなります。

今までは、T因子(腫瘍本体)の大きさが3cm未満と3cm以上で分類していたのが2cm未満、2cmから3cm未満、3cmから5cm未満、5cmから7cm未満、7cm以上と従来、2ランクに分類されていたのが5ランクに分けられるようになるのです。

この変更によって今まで1期だったものが2期になったり、2期だったものが3期になったりします。

もちろん、多くは今までと同じ分類なのですが。。。

また、今までは悪性細胞を伴う胸水を認めても遠隔転移がなければ3期だったのですが、4期に分類されるようになりました。

それと大きな違いがリンパ節の番号が変わることです。

今までよく3番とか7番リンパ節がといっていたのですが、3番リンパ節がなくなりました。(正確には3pとかで残っているのですが頻度が非常に低くなります。)

今まで3番だったところは4番になって4Rとか4Lとか(RLは右、左という意味です)になってしまいます。

ややこしいんですけど、世界で統一されたのでいいことなのでしょうね。

今までよりもかなり細かく分類されるようになるように感じます。

どうしてこのような変更が行われるのかおわかりですか?

これは、今の病期分類でのデータを解析して同じような予後の見通しがもてるグループに分類しなおしたのです。

もちろん、今までも同じような予後のグループとして病期分類が行われていたのですがそれがさらに的確にするために細かく分類されたと理解するのが正しいでしょうか。

ちなみに、日本を含む19カ国、10万人の患者さんのデータをもとに作られたそうです。

どうです。

良さそうに感じるでしょう。

でも、実際に新しい分類で診断して、治療をしてみてそれで新しい分類が優れているかどうかの評価をしなければなりません。

そうしているうちに新しい事実が判明してもっと優れた分類法がみつかったりすることもあります。

そうすれば、第8版が作られるでしょう。

ただ、あまりに細かくまた、先進的すぎる分類だと困ることがあります。

基本的には、世界共通ですので医療資源が豊富にある地域は分類が簡単に行えるけれども、そうでない地域では正確な病期分類が難しくなる可能性があります。

そうすれば、各国同士の比較が困難になるのです。

もちろん、好ましいことではありません。

それと、もう一点。

このブログでも分子標的薬について何度か説明しています。

分子標的薬は、効果のない患者さんと効果のある患者さんが特定の検査でわかることがあります。

非小細胞肺がんのEGFR遺伝子変異や乳癌のハーセプテストなどのバイオマーカーといいます。

それがわかることにより治療方針が変わることがあるので今後は、そのような情報が病期分類に取り入れられていくでしょう。

さらに進んでいけば、病気のひろがりよりもバイオマーカーが病期分類の中心となってくる可能性さえあります。

いやー、こんな話題も久しぶりでしたね。

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テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

コメント
この記事へのコメント
呼吸器新米ナースとしては、この前買って読んだ参考書が、もう古くなってしまうということで、困ったことですが、ブログを読んで大まかな、変更がわかったので、良かったです。

このブログを読んでいるので、きっと素敵な呼吸器科のナースになれるのではないかと思います。

全然TMNから話題がずれてしまいますが、うちの犬が乳腺腫瘍で、以前2度の手術をしました。
しかし今はもう13歳、僧帽弁もガタがきているような状況です。

獣医さんは手術を勧めましたが、年齢的なこともあり、「センダン」という補助食品を与えています。これ犬にも効くなら、人間にも効かないのかなー?

最近は犬のPET検査や腫瘍マーカーなんかも人間なみで、どこまでするかは、飼い主次第だけど、とにかくもう後は、緩和ケアも勉強しなくては(犬の)

もちろん人間ケアも勉強しています。

2009/12/12(土) 20:06:39
URL | ゆき #-[ 編集 ]
…つまり
要は、マニュアルとかガイドラインみたいなものでしょうか。

分類したらキリがないですよね。
人間の体は千差万別だし、更に性別の違いや年代の差、既往症などでも変わってくると思いますし。
痛いとか苦しいとかはなおのこと。

大腸ガンを患った知人は「ステージ4に近い3」と、なんとも微妙な表現をされたとのこと。
なんだか、学校の成績で中の上とか言われてるみたいですよね。
本人はあまり痛みも苦しみも感じてなかったのに「いや、これなら痛いはずです」と決めつけられて、かえって困ったとか。

医療とは不思議なもので、喘息なんかもガイドラインが定着して、大抵の病院で同じような治療をしてもらえます。
稀にまだまだ「喘息には運動だ」とか「精神的な甘え」とか言い放つ老医師もおりますが。
が、逆にマニュアル絶対視って医師もどうなんだろう?と。

横の人にヒューヒュー音が聞こえるくらいで、私自身は結構苦しく感じたのですが。
酸素が97で「大して悪くないからネブライザーだけでいいだろう」と診断されたことがありました。聴診もせずに。

検査の数字や画像だけではわからない訴えってあるはずです。
大袈裟な患者扱いされると、とても残念に思います。
一般的な目安は必要でしょうけど、あまりそこにこだわらないで頂きたいです。

あ。
そういえば私、父の入院時にステージを聞き忘れました。
ビール瓶1本くらいの胸水を抜いて「息がラクになった」なんて御機嫌でしたが、今思うとそれだけ溜まってたらかなり進んでたんじゃないかな?って。
骨転移はないとは聞いたんですが、その時キチンとステージとか聞いてれば、覚悟ができたかもしれません。
それが去年の春先で、まさか正月に亡くなるとは。
「高齢だから、そんなに進行は早くないと思いますよ」という主治医の言葉を真に受けてましたから、余計呆気なく感じました。
無論、素直に入院して治療受けてれば違ったんでしょうけど、そうは標準通りにいかないのが人の命ですね…。
2009/12/13(日) 06:38:26
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
見つからない肺がん
見つからない肺がんってあるんですね
知人が腰が痛いと整形外科とか通ってたら
実は肺がんの骨転移でした。
そこまで 見つからないんでしょうかね
がんかもって疑われないと
細胞の顔つきまでいきませんよね

2009/12/13(日) 22:52:28
URL | てぃーちな #SJrrqsN.[ 編集 ]
>ゆきさん
最近の話題は、学会のHPなどでガイドラインとかが読める事が多いですよ。

呼吸器といっても肺がんが中心なのでどこまで役に立つのかわかりませんけど。

>女王様
>要は、マニュアルとかガイドラインみたいなものでしょうか。
取り扱い規約ですのでまさにマニュアルのことでしょう。

>大腸ガンを患った知人は「ステージ4に近い3」と、なんとも微妙な表現をされたとのこと。
例えば悪性胸水を伴う肺がんは3b期ですが、来年からは4a期になりますよね。
このようなことが4期に近い3期だったのです。
マニュアルに合わない患者さんも当然いますから、その方に合わせての治療選択となります。
あくまでも他は元気な人用のマニュアルですから。

お父様は初診時に3b期か4期であったわけで春先に見つかって正月にお亡くなりになることは十分予想できます。
あとは、それをどう本人や家族に伝えるか
という問題でしょうね。

>てぃーちなさん
遠隔転移があって初めて発見される肺がんも多いですよ。

若い人ほどそうやって見つかることが多いと思います。
2009/12/14(月) 13:47:10
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
…そうですかー
3末期から4となると、充分「余命半年の末期癌」だったんですねぇ。

父自身は、何やら勝手な解釈で
1)骨転移なかった
2)年寄りは進行遅い
3)扁平上皮癌は軽い
4)胸水抜いて楽になった
とかなんとか言い切り、だからすぐ退院できると御機嫌だったんですが。
父の浅はかな素人発言を真に受けた我々が、大間違いだったようです。

もしかしたら、父自身は告知されてて、家族には黙ってたのかも?
ムンテラで主治医も口裏合わせたとか。
そういうケースもありますか?

なんつーか。
患者も家族もお互いに気を遣いながら、悲しくも優しい騙し合いだったりするんでしょうね。

癌であることの告知は、もはや当然のように定着してきたけれど、現実の状況をどこまで正しく伝えるか。
それがとても難しい問題ですね。

話は変わりますが。
喘息もガイドラインが改定されたみたいですねー。
今までのような、ステップ1~4のレベル分けではなく、軽度間欠・軽度持続・中症状持続・重症持続とかになったとか。

新しい合剤(シムビコート?)もいよいよ販売になったり、なかなか賑やかです。
賑やかなのに、これという治療薬はないんですよねぇ。
厄介なもんです。
段階の呼び名が変わったところで、患者にはあまり関係ないんですけどね。
2009/12/15(火) 10:45:12
URL | 女王様 #-[ 編集 ]
>もしかしたら、父自身は告知されてて、家族には黙ってたのかも?
>ムンテラで主治医も口裏合わせたとか。

ありませんね。

私の場合は、必ず家族と患者さんと同じ時に話をします。
患者さんが家族には話さないでと言ってきても説得して家族にも病状を話させてもらえるようにしてますよ。

>現実の状況をどこまで正しく伝えるか。
そうです、これが一番大切で難しいと思います。

>治療薬はないんですよねぇ。
ステロイド吸入が出来てから、喘息は別の病気になった印象があるくらい凄いクスリですよ。

確かに、もう10年も経つのでそろそろ新しいクスリも欲しいですね。
2009/12/15(火) 12:40:51
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
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