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~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
原因不明の腸炎 
2008/03/12 Wed 12:25
CATEGORY【診療】
m3に去年の7月11日にエントリーした記事です。





もう、ずいぶん前のことです。

Hさんが病院にやってきたのは。Hさんは、二十歳になったばかりの大学生でした。

主訴は下血です。
発熱はありませんが、CRP(炎症反応)は5と上昇していました。白血球も増加しています。

若い女性の下血、鑑別診断(医師が考えなければいけない病気)として潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、感染症などがあげられます。

診察上、下血しているのは事実のようです。(性器出血ではないようです。)

大腸ファイバーの出番です。

中をのぞきました。

ベテランの部長先生が『見たことない景色や。』とつぶやきます。

直腸からの連続する病変です。S状結腸から下行結腸のみの病変でした。全周性に炎症が強く、隆起性病変などもありません。イメージとしては、ただれてる、と言うような感じです。典型的な潰瘍性大腸炎の像とは異なります。

何の病気か診断できませんでした。

部長先生は、ウイルスなど稀な感染症を強く疑ったようです。
まあ、いずれにせよ、よくある病気ではなさそうです。

困ったときの基本的な治療方針として、休ませると言う方針があります。

大腸を休ませるとは、絶食にすると言うことです。
1~2週間ごとに大腸ファイバーを行うと、炎症は徐々に取れていっていました。
結局、Hさんは、絶食のみですっかり良くなりました。

しかし、確定診断はついていません。もし、再発する病気だったら、次は下血だけではなく、腸管に穴があいて手術が必要になるかも知れません。

大腸ファイバーの予約をして退院しました。

大腸ファイバーの検査の前に主治医宛に1通の手紙が届きました。

謝罪から始まる文章でした。
Hさん自身は、下血の原因がわかっていたようです。
もう、病院に来なくてもいいと自己判断しました。

衝撃的な事実が書かれていました。

簡単にまとめると

『テキーラをおしりから流し込んだ事があった。』とのこと。

それで、こんな事になったんだろう。

おそらく正解です。
Hさんは、もう二度とそんなことはしないでしょう。

しかし、女子大生の大腸が高濃度のアルコールが原因で炎症をおこして下血しているなんて誰が思いつくでしょうか。

まあ結局、問診が 非常に大事である。と言うことです。

以上。





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診療において、想像を絶するような事に遭遇することがあります。

本当に驚きました。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

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