~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
スポンサーサイト 
--/--/-- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
TRACKBACK --  |  COMMENT --  | 編集
2008/11/08 Sat 12:09
もう、ずいぶん前のことです。

小柄なかわいらしいLさんは、我慢強い女性でした。

Lさんの病気は、稀なタイプの肺がんでした。
一般的に言って抗がん剤が効きにくいタイプです。

それでも、Lさんは、頑張って治療をしてきましたがだんだんと抗がん剤の効果もなくなってきました。

徐々にと緩和医療が治療の中心となってきました。

幸い、Lさんに痛みはなく主な訴えは『しんどい。』と言うものでした。

いろんな薬を試してみます。
ステロイドだったり、抗不安薬であったりを。。。

新しい薬を試した次の日はいつも
『ちょっと、調子いいかな。』と言ってくれます。

本当に調子がいいのか、気を使ってそう言うのかはわかりません。

いろいろな方法でLさんのしんどさを取り除けないかと頑張っていたある日

『先生、もうなんもせんでもいいで。先生、一生懸命考えてくれてるのはありがたい。
でも、かわらんし、点滴するのももうイヤや。
飲み薬が増えるのももうイヤや。』

『……、わかりました。じゃあ、なるべくLさんの希望のそうようにしますね。
できるだけ、点滴はしないように、飲み薬も必要最低限にしますね。』

Lさんは、こくりとうなずきました。

我慢強いLさんでしたが、しばらくしてLさんのしんどさは、限界に達しそうになってきました。

しんどさ、だるさ、身のおきどころのなさを取るためには鎮静(セデーション)しかないと言う話しをしました。

息子さんは、できるだけそのような方法は取りたくないようです。
母にしんどい思いはさせたくないけど、コミュニケーションがとれなくなるのがつらいようです。

何日か経って息子さんからセデーションを今すぐ始めて欲しいと連絡がありました。

夜、付き添っていた息子さんに『しんどい、楽になりたい。』と言ったそうです。

今まで、息子さんの前では決して弱音をはかない強い母だった。
子供の頃から、そして、大人になってからも息子さんは母の弱音を初めて聞いた。
と涙ながらに話されました。

セデーションを開始して数日後、

周りには、旦那さん、息子さんをはじめ、家族が10名ほど集まっていました。

Lさんは、1分ほど呼吸しなくなっています。

『あと1人孫が来ます。もうすぐ、来ます。』

息子さんが言うと同時に最後のお孫さんが入ってきました。

孫を待っていたかのようにLさんは、最期に大きな息をし、息を引き取られました。


Lさん、幸せだったと思う方『人気ブログランキング』へ←ポチッとお願いします。



Lさんは、旦那さんにだけしんどい、つらいといった事を言っていたようです。
どんなに高齢になっても息子の前では母であろうとしたんですね。

Lさんの担当になれて本当によかったと思います。


鎮静のガイドラインPDFは、ここをクリックしてください。

テーマ:医療・病気・治療 - ジャンル:心と身体

タグ : 緩和

コメント
この記事へのコメント
切ないですね。
よっしぃ先生はたくさんの切ない状況に
立ち会っているのですね。
お医者様の多くがそうなんでしょうけど・・・。

私は自分がもし余命のわかる状況になって
しまったら、延命処置はしないでほしいけど、
父がそういう状況になってしまって、しかも
父が延命を望んでいないとしたら・・・。
なんとも切なくてやるせない思い・・・になり
そうです。
お医者様って・・・。切ないなぁ~。。。
2008/11/08(土) 21:03:10
URL | まるみ #-[ 編集 ]
いつでも、どんな時でも親は親として生き続けたい。それがLさんの信念でもあり、ある意味、闘病の中で支えとなっていたのかもしれませんね。
末期の癌で楽。というものはないのでしょうが、肺癌は、痛みと息苦しさの自覚症状が強くでるだけに見ていてつらいものがあります。
セデーションのタイミング・・・・。何をもってか・・。確かにコミュニケーションが不足傾向になってきますが、抗精神薬の覚醒効果のある薬と併用することで、コミュニケーション不足を軽減することは、できていたように思います。ただ、苦しいのが強いときは、どちらがいいのか・・・。本人が何を優先に考えているか・・・。なのでしょうね。
最後にみんながそろってから逝かれる・・・。これも、不思議なことで、よくありました。
ひっそりと独りで・・もあれば今回のLさんのように家族に見守られながら迎える最後の時・・・。幸せだったでしょうね。
残された家族は言いようのない寂しさが訪れますが、最後に皆さんが集まるまで、この世で生きていた・・・。
それにはきっと、ありがとう。そしてこれからは、みんなで力を合わせてくださいね。の無言のメッセージがあるような気がして・・・。
その度に感じていました。
その後、残された方も苦しみを抱えていかなくてはいけません。
それを分かっていてもどうすることもできない。そのような方が最後にこの世で残されるもの。形には残らなくても、それが、その後の皆さんの支えになっていかれるのかと・・・。
2008/11/09(日) 00:27:33
URL | ryo #qhVXTLRM[ 編集 ]
まるみさん
現在の家族をみて延命処置をして欲しいかどうかと、ぼろぼろの状態になった家族をみて延命処置をして欲しいかどうかは変わってくると思います。

まあ、今までいろんな場面に遭遇してきましたよ。

ryoさん
>末期の癌で楽。

ないことはないですよ。
夕ご飯も食べて、20時頃から眠るようにして逝った方もいますしね。

>その後、残された方も苦しみを抱えていかなくてはいけません。

もう、病院には来れないと言う家族の方は大勢いました。
病院に来たら思い出して泣いてしまうとかも。

家族の方への支えも充実するといいんですけどね。
2008/11/09(日) 14:17:53
URL | よっしぃ #-[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://tugagu.blog34.fc2.com/tb.php/79-bb943404
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

copyright © 患者と医者をつなぐもの all rights reserved.


template by http://flaw.blog80.fc2.com
Powered by FC2ブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。