~よっしぃの独り言                   医者として10年程仕事をしてきました。 医療関係者と一般の方々の間に大きな隔たりがある事も実感しました。 これは、お互いにとって不幸なことです。 このすきまに橋を架けれたらと思いブログを始めました。
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2009/09/08 Tue 12:14
もう、ずいぶん前のことです。

Fさんは、年齢よりも若く見えるかわいらしい感じの女性でした。

見た目は、50代といったところでしょうか、実際はプラス10歳くらいだったんですけど。

Fさんは動くと息切れが出てくるようになったと言って受診されました。

気管支鏡検査を行うと、小細胞肺がんという肺がんでした。

しかも、胸水を伴っており予後は非常に悪いことが予想されました。

小細胞肺がんとは、肺がんの中でも非常に進行が早いのです。

ただ、小細胞肺がんは抗がん剤が効きやすいというメリットがあります。

当然ながら、標準的な抗がん剤治療を行いました。

シスプラチンとイリノテカンの併用療法です。

これらの組合せは、副作用が厳しいことでも知られています。

有名な副作用は、シスプラチンの嘔気、嘔吐、腎障害とイリノテカンの下痢です。

特にイリノテカンの下痢は、ひどくなると生命に関わりかねないので適切な対応が必要です。

残念ながら、Fさんにはすべての副作用がきつく出ました。

吐き気予防のガイドラインに沿って十分な吐き気対策はしたのですが、1週間にわたり嘔吐が続きました。

もちろん、その間もいろいろな吐き気に効果のありそうな薬を使ってみましたがあまり効果なさそうでした。

しかも、表情は仮面様になりしんどさで病的とも思われるほど気分の落ち込みを認めました。

うつ状態です。

その上に、イリノテカンの下痢もそこまでひどくはなかったですが追い打ちをかけました。

2コース目投与予定日あたりでようやく、落ち着いてきました。

『Fさん、大変やったね。

そろそろ、2回目の抗がん剤の予定やけどFさんに同じ薬は無理みたいやね。

別の種類の吐き気のかなり少ない薬にかえてやってみようか?』

『先生、もう無理です。

種類をかえてももう無理。

もう、抗がん剤なんてしたくありません。』

Fさんの思いも当然といえば当然です。

かなりの吐き気に悩まされたFさんにとって同じ薬は無理であり、治療効果を考えればカルボプラチンとエトポシドの併用療法なのですがそれもシスプラチンよりは弱いが吐き気が来る人もいる。

それなら、効果は低いかも知れないがアムルビシン単剤ならほとんど吐き気はない。

そのために、アムルビシンをおすすめしたのですが。。。

もういや、家に帰りたいの一点張り。

幸い、入院時の症状はほとんどなくなっていたので退院していただきました。

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2009/08/22 Sat 07:58
もう、ずいぶん前のことです。

以前、『人間は汚い』とか『清潔と不潔』なるエントリーをあげました。

なんだか、忘れられない先生がいたので紹介します。

C先生です。

C先生は、清潔好きです。

というか、清潔好きだと思われます。

自分以外のものは汚いと感じているのかも知れません。

朝、病院にやってくると一番にすることはマスクと手袋をつけます。

そのまま、病棟や外来で仕事をしているようです。

C先生から直接聞いたわけではないのですが、カルテなど患者さんを診察した手で記載するのでとてもじゃないけど素手でさわれないとの事です。

確かに、ナースが便処置をしたり、身体を拭いたりした後、タンの吸引をした後、傷口をさわった後などに必ず手を洗っているかと言えば、実際問題必ずではないでしょう。

ただ、現実問題として、カルテを素手でさわるのが汚いことかと言われれば、よく考えれば汚いかも知れませんが、それを考えると仕事になりません。

例えば、電車のつり革、トイレのノブなども同じようなものでしょう。

それをさわったことが原因で、生活上問題となることはありません。

病院なら、患者さんのところに行く前に手洗いをすればいいだけのことです。

でも、C先生にしてみたら嫌なものは嫌なのでしょう。

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ただね、C先生は、自分がつけてた手袋をぬいだとき、ゴミ箱にいれなくて病棟の机や棚においていることが結構あるんです。

長時間つけているので当然ながらむれています。

手袋をぬいだとき裏返しにぬぐのが鉄則ですので当然それを守ってます。。。

まあ、きれい、きたないと思う感覚は人それぞれ違うんであれなんですけどね。

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2009/08/08 Sat 15:36
それから程なく、Bさんは身のおきどころのないしんどさが出てきました。

Bさんの家族を呼び出し話をしました。

『Bさんのしんどさを取り除くのは難しいです。

ただ、眠たくなるような薬を使うことによってしんどさから解放されると考えられます。

ただし、今まで通りのコミュニケーションはとれなくなりますけど。。。』

このようにセデーションの話をしました。

奥さんは、少し取り乱した感じでした。

『嫌です、わざと眠らせるなんて、わたしの生き甲斐がなくなります。』

『。。。。』

その翌日、奥さんから

『やっぱり、眠たくなる薬を使ってください。

わたしのわがままであの人がつらい思いをしているのですから。。。。』

このようなやりとりがあった後、セデーションを開始しました。

Bさんが眠りについた翌日、奥さんから話がしたいと連絡がありました。

『先生、眠たくなる薬を止めてください。』

『Bさん、またしんどくなりますよ。』

『あのまま、しゃべらないあの人は耐えられないんです。

それに、すぐにあの世に行くような気がして』

『ほんとうにいいんですね。』

『お願いします。』

確かに、Bさんに残された時間がそう長くはありません。

おそらく、1週間もないでしょう。

奥さんの希望通り、薬をやめることにしました。

また、呼吸状態が悪化したときに人工呼吸器をつけるかどうかの説明をしました。

『少しでも長く生きていて欲しいんです。

是非とも使ってください。』

何度か説明しましたが奥さんの意見はかわりませんでした。

薬を止めてしばらくするとBさんの意識ははっきりとしてきてつらくてつらくてたまらないようです。

奥さんもBさんがつらそうなのを見てつらくなってきたようです。

また、やってきて眠る薬を使ってください。とやってきました。

『わかりました。

また、使いましょう。

でもね、奥さん、何のために使うかよく考えてくださいね。

Bさんのためですからね。』

そして、Bさんは再び眠りにつきました。

しばらくして、病室から怒鳴り声が聞こえてきました。

声の主はBさんの息子さんです。

『母ちゃん、また眠る薬を止めて欲しいって、どういうことやねん!

ただの母ちゃんの自己満足やろ!

しんどいから、眠らせてもらってるんやろ!

もう、このまま様子を見ようや。』

そのあと奥さんは何も言わなくなりました。

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数日して、Bさんの呼吸が止まりそうになってきました。

『奥さん、人工呼吸器を使うのならそろそろやりましょう。

夕方を過ぎると看護師の数も少なくなるので今からつけた方がよいでしょう。』

奥さんは、目を腫らしながら

『先生、もういいんです。

わたしのわがままだったんです。

少しでも長いことそばにいて欲しかっただけなんです。

わたしは、あの人の事を考えていたわけではなかったんです。

こないだ、息子に怒鳴られるまで気がつきませんでした。

覚悟はできています。

ありがとうございました。』

それから、数時間して安らかに息を引き取りました。

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2009/08/06 Thu 12:41
もう、ずいぶん前のことです。

Bさんは、肺がんをわずらっていました。

今まで何度も抗がん剤治療を行ってきましたが、だんだんと効果も薄れてきて、副作用もきつくなってきて抗がん剤治療を行うのは厳しい状況になってきました。

ほどなく、抗がん剤治療を中止して症状をとるような治療に専念するようになりました。

そんなBさんには、献身的な介護をする奥さんがいらっしゃいました。

外来にも必ずついてきます。

入院しても毎日やってきます。

しばらくすると、Bさんの調子がだんだんと悪くなってきました。

息苦しさが強くなり入院することになりました。

右肺がつぶれています。

肺門部に腫瘍があるため閉塞を来して無気肺になったものと思われます。

大量の酸素を吸わないと苦しいようです。

食事もだんだんととれなくなってきました。

奥さんは、Bさんにがんばって食べて欲しいようです。

『がんばって食べて、元気になって。』とBさんに語りかけています。

しかも時々、ゼロゼロとむせています。

誤嚥している可能性が高いです。

そんなある日、Bさんの奥さんと話をしました。

『残念ながら、Bさんは、がんばったからといって食べれるわけではなく、がんばって食べることが負担になっている可能性があります。

しかも、むせもありますので、無理に食べてもらうようにするのはやめましょう。』

Bさんの奥さんは黙って聞いていましたがどうも不満な様子でした。

そして、一言つぶやきました。

『私、あの人に食べさせるのが生き甲斐なんです。』

まあ、確かにBさんが今後むせずに食べるようになる可能性は低く絶食までする必要性はないと考えました。

『たくさんは、食べないようにしてくださいね。』

その翌日、Bさんに尋ねました。

『Bさん、ご飯食べられる?』

『食べられないけど、妻が食べろというからがんばって食べます。

でも、正直、食べるのがつらいです。

先生、このことは妻には言わんといてください。

わたしがご飯を食べると喜ぶんです。』


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つづく

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2009/07/18 Sat 10:11
もうずいぶん前のことです。

Cさんは、副院長である循環器の先生にかかっていました。

心筋梗塞で死にそうになった事があるのです。

もう、10年以上前のことですけど。

そんなCさんは、肺に影が出てきました。

ただ、肺機能も悪く、心臓にも問題を抱えていたために半年ほど様子を見ることになりました。

すると、肺の影は大きくなってきました。

肺がんが疑われます。

そして、Cさんと出会いました。

Cさんは、社長でした。

会社の名前を聞けば知らない人はいないくらいの会社の社長でした。

普通は検査入院を行うのですが、

『わしは、忙しいんや、入院は出来へん。』

『外来で出来る検査と出来ない検査があります。

特に気管支鏡検査は入院でしていただかないといけません。

外来で出来る検査は、外来でしますから。』

外来で出来る検査は、外来でして何とか短期入院の了承を得ました。

『わし、特別室でないとあかんから。』

『特別室は、数が少ないですし、短期入院で入院日を決めてしまいますので、特別室は難しいと思います。

特別室が空くまで入院を待つなら可能ですけど、短期入院ではねぇ。』

『何とかしてくれ。』

『そういわれてもわたしの権限ではなんともなりません。』

こんなやりとりをしてようやく検査の予約と入院の申し込みをして帰られました。

貴重な外来の時間をかなり費やしてしまいました。

ホッとしたのもつかの間です。

検査にやってきたときにさんざん病院の悪口を言っていたようです。

検査担当の方から耳にはさみました。

何でこんな検査をしなければならないのか?とか(外来で十分説明したつもりなんですけどね。)

こんな古ぼけた機械でちゃんと検査できるのか?とか

そして、入院の日がやってきました。

『Cさん、そしたら気管支鏡の検査をするための入院です。

検査が終わってしばらく安静にしていただいて問題がなければ翌日の退院となります。』

『副院長は?』

『どうしたんですか?』

『副院長は診察にこないのか?』

『多分、挨拶に来ると思いますよ。』

『多分やなくて、今こないのか?』

『Cさん、呼吸器の精密検査で入院しているのですからCさんの担当はわたしです。

副院長も来ると思いますけど。』

『そうか、副院長が主治医やったから、今回も副院長がメインで先生がサブかと思たわ。

でも心臓の病気もちゃんとあるからよう相談しといてや。』

『もちろんです。』

なんなんだろうと思いながら無事検査が終えました。

それからも、Cさんと話をするとどこどこ病院の院長先生に診てもらったことがある。

とか

大学病院の教授がどうとか話をされます。

幸い、検査の結果は非定型抗酸菌症でしたので様子をみることとしました。

まあ、その結果説明の診察のときも大変だったのですが。

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それにしても非常に疲れる患者さんでした。

しかし、もっと綺麗な特別室のある、特別待遇をしてくれるような病院は他にありそうなんですけどね。

なんで、うちの病院に来たんでしょうかね。

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